出産時の分娩費用を無償にする新制度の創設を盛り込んだ改正健康保険法が29日の参院本会議で可決・成立した。正常分娩にかかる費用の全額を公的保険で賄う。厚生労働省は施行に向けて全国一律の価格を検討する。
改正法の公布から2年以内に施行する。正常分娩はいまは医療保険を適用しておらず、原則50万円の「出産育児一時金」を支給している。医療機関ごとに価格が異なり、都市部を中心に妊婦が一時金で費用を賄えないケースが増えていた。
厚労省が分娩費用を定め、公的保険から医療機関に全額給付する仕組みに改める。分娩を無償にし少子化に歯止めをかける狙いがある。価格は今後詰める。
これとは別に全ての妊婦を対象とする定額の現金給付も設ける。帝王切開はいまも保険診療の対象で、原則3割の自己負担が生じる。正常分娩の場合でも個室の利用料などは自己負担になる。現金給付で妊婦の負担を抑える。
当面は医療機関の判断で出産育児一時金の支給を続けることも認める。いまは医療機関が自由に出産費用を設定している。新制度では病院の規模などが同じなら全国一律の価格となる。産科の経営に支障が出る可能性に配慮する。
改正法はほかに市販薬に似た成分や効能があるOTC類似薬で患者に追加負担を求める仕組みも盛り込んだ。保湿剤や抗アレルギー薬、解熱鎮痛薬など77成分およそ1100品目で薬剤費の4分の1を2027年3月から徴収する。75歳以上の高齢者の金融所得を医療の保険料や窓口負担の判定に反映する規定も盛り込んだ。
自営業者らが入る国民健康保険を巡り、子育て世帯の保険料負担の軽減策も盛った。いまは子どもを含めた世帯あたり加入者数に応じて払う保険料について、未就学児分は5割を公費で賄い負担を抑えている。これを高校生年代まで広げる。
医療費の患者負担を一定額に抑える高額療養費制度に関しては、見直しにあたりがんなどの長期療養者の家計への影響を考慮することを法律に明記した。負担上限の引き上げなどの見直しは政令で定める。
引用元:
出産費用を無償に、改正法成立 厚労省が全国一律価格を設定へ(日本経済新聞)