約100万件の出生データで暑さへの曝露と早産リスクの関連を調査
東京科学大学は4月22日、妊娠16〜22週の高温曝露が早産リスクの上昇と関連し、特に妊娠19週で最も強い関連が確認されたと発表した。この研究は、同大医歯学総合研究科公衆衛生学分野の藤原武男教授、寺田周平助教らの研究グループによるもの。研究成果は、「American Journal of Epidemiology」にオンライン掲載されている。
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早産で生まれた子どもは、新生児期の死亡リスクが高いだけでなく、その後の成長や健康にも長期的な影響を受ける可能性がある。日本では出生の約5.5%を早産が占めており、その予防は大きな課題と言える。気候変動に伴い猛暑の頻度や強度が増すなか、妊娠中の高温曝露と早産リスクとの関連を明らかにすることは、母子保健の観点からも重要視されている。しかしこれまでの研究では、出産直前の暑さに注目したものが多く、妊娠中のどの時期が特に影響を受けやすいか、妊婦が特にどの時期に暑さに注意すべきかを示す科学的根拠は不足していた。
妊娠16〜22週が感受性の高い時期であることが判明
今回の研究は、日本産科婦人科学会周産期登録データベースに登録された2016〜2020年の単胎生産児約98万6,000例を対象に、妊娠中の暑さへの曝露と早産リスクとの関連を調査した。具体的には、各都道府県の週平均気温について、その地域の90パーセンタイルを超える週を「高温週」と定義し、妊娠週数ごとのロジスティック回帰と「クリティカルウィンドウ変数選択法」を組み合わせて、感受性の高い時期を検討した。
その結果、妊娠16〜22週における高温曝露が早産リスクの上昇と関連し、特に妊娠19週で最も強い関連が見られた。「高温週」では、妊娠19週における早産のオッズが約16%高いと推定された(オッズ比1.16、95%信頼区間:1.13〜1.19)。
さらに、早産の重症度ごとに解析したところ、感受性のピークとなる時期はそれぞれ異なっていた。妊娠28週未満の超早産では妊娠16週、28〜31週の極早産では18週、32〜36週の中等度・後期早産では19週に、それぞれ最も強い関連が認められた。また、35歳未満の妊婦では、35歳以上と比べて関連がより強い傾向が見られた。
妊婦健診や自治体の保健指導における実効性の高い対策に期待
今回の研究は、日本の大規模な周産期データを用いて、妊娠中期、特に16〜22週頃が暑さに対して感受性の高い時期である可能性を示したものである。この知見は、妊娠中期の女性に対し、暑い日の外出を控える、冷房を適切に使用する、十分に水分を摂取するといった暑さ対策を重点的に行うための科学的根拠となり得る。
「今後は、前期破水の有無や自然早産・医療介入による早産の違いなど、早産の種類ごとの検討を進めるとともに、個人レベルの気温曝露や社会経済的要因を取り入れた研究を通じて、暑さが早産を引き起こす仕組みの解明を目指す。さらに、年齢や社会経済状況、住環境などの観点から、暑さの影響をより受けやすい妊婦を明らかにし、妊婦健診や自治体の保健指導における実効性の高い対策につなげていくことが期待される」と、研究グループは述べている。(QLifePro編集部)
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・東京科学大学 ニュースリリース
引用元:
妊娠中期の高温曝露により早産リスクが上昇−科学大(医療NEWS)