BPAによる酸化ストレス亢進、男性不妊の要因として懸念
大阪公立大学は3月26日、プラスチック原料などに用いられるビスフェノールA(BPA)が引き起こす精子機能障害に対する乳酸菌由来のパラプロバイオティクス素材FK-23が与える影響について、ラットを用いて検証を実施。FK-23が精子の運動性を改善し、脂質過酸化の増加を抑制することを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科の南山幸子客員教授、竹村茂一特任教授、石沢武彰教授、中川加奈子学外研究員と同志社大学の市川寛教授、京都府立医科大学の吉川敏一名誉教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Functional Foods」にオンライン掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)
近年、BPAが、内分泌かく乱作用を介して生殖機能に影響を及ぼす可能性が指摘されている。特に、酸化ストレスの亢進による精子機能の低下は、男性不妊の要因のひとつとして世界的な懸念となっている。一方で、乳酸菌やその菌体成分は、腸内環境を介して免疫調節や抗酸化作用など多様な生理機能を示すことが知られており、近年では生菌ではなく加熱処理菌体などを利用するパラプロバイオティクスの研究が進んでいる。そこで、研究グループは、FK-23が、BPAによる精子毒性に対して保護的に作用するかどうかを検証した。

BPA曝露ラットの精子運動性低下をFK-23が改善、脂質過酸化も抑制
今回の研究では、ラットを用いたBPA曝露モデルを作製し、精子機能および精巣組織における酸化ストレスの指標を評価した。その結果、BPA曝露群では、精子運動性の有意な低下が認められるとともに、精巣組織において脂質過酸化マーカー(4-HNE、HELなど)の増加が確認され、酸化ストレスが亢進して精子機能低下を引き起こすことが示唆された。

一方、FK-23を摂取した群では、BPA曝露によって低下していた精子運動性が改善し、精巣組織における脂質過酸化マーカーの発現も低下した。これらの結果から、FK-23はBPAによって誘導される酸化ストレスを抑制することで、精子機能の低下を防御する可能性が示された。

食品成分を活用した生殖健康維持への応用に期待
今回の研究により、乳酸菌由来の機能性成分が、有害な環境化学物質による生殖毒性に対して保護的に作用する可能性が示された。

今後、作用機序の解明やヒトでの検証が進むことで、食品成分を活用した生殖健康維持への応用や、環境化学物質曝露に対する新たな予防戦略の開発につながることが期待されており、「今後は腸内環境との関連を含め、食品成分による新しい予防戦略の可能性を検討していきたい」と、研究グループは述べている。

引用元:
プラスチック由来物質による精子機能障害を軽減する可能性−大阪公立大ほか(QLifePro編集部)