生理や性感染症、交際相手との関係−。思春期から始まる性の悩みに対し、医療関係者やカウンセラーが幅広く相談に応じる「ユースクリニック」が少しずつ広がっている。産婦人科などの専門機関に行くのはハードルを感じる人でも、気軽に利用できるのが特徴という。ただ認知度はまだ低く、悩みを抱える全ての若者に必要な情報が届いているとは言えなさそうだ。

 足立病院(京都市中京区)の分院・西院レディースクリニック(右京区)では毎月第3土曜日午後2〜4時、ユースクリニックを開催している。出入り口には性教育関連の本がずらりと並ぶ。


 「月経に伴う症状は小学生からでも相談できる。痛みなどを我慢して実力を発揮できないのは、もったいないですよね」「小学6年生から高校1年生までの女性はHPVワクチンを無料で接種できます。男性もぜひ打ってほしい」

 足立病院の産婦人科医・亀井沙織さんが、訪れた中学生や思春期の子を持つ親にレクチャーする。利用者は亀井さんの話を聞いたり、性教育の本を読んだりと、気軽で自由な空間だ。

 スタッフは亀井さんのほか、小児科医や助産師、公認心理師ら。性やメンタルヘルスに関するさまざまな相談に応じる。医療行為は行わないものの、必要に応じて医療や児童相談所などの専門機関につなぐ。

 西院レディースクリニックのユースクリニックは2025年5月に開設された。足立病院の助産師でもある事務長が他県の事例をテレビの報道で知り、性教育に取り組む亀井さんらに呼びかけて無料で始めた。

 足立病院は、分娩(ぶんべん)数が京都市内で最も多い。10代の妊娠のほか、週に1、2件は人工中絶も扱う。ユースクリニックを設けることで、予期しない妊娠や中絶、性病などから子どもや若者を守りたいと考えたという。

 スタッフはボランティアで取り組んでいる。開設から1年たち、認知度の低さが悩みだが、亀井さんは「知識があれば、若者がこんなにつらい思いをしなくて済むのに、と感じることはたくさんある。特に中高生は、ゆっくり話を聞いて対応する必要がある」と意義を語り、毎月笑顔で利用者を迎える。

 青少年の性にまつわる課題解決に取り組む一般社団法人ソウレッジ(東京)によると、ユースクリニックはスウェーデンが発祥とされる。スウェーデンでは若者の健康を守る取り組みとして50年以上の歴史があり、公費で運営されている。

 専門知識を持った助産師やカウンセラーなどが常駐し、性に関する相談に応じるほか、低用量ピルといった避妊薬の処方、性感染症の検査などを無料で行っている。学校の近くに設置され、助産師らが出向いて性教育をしたり、生徒がユースクリニックを見学したりと学校と連携しているところもあるという。ソウレッジの鈴木莉帆代表は「避妊と検査にアクセスできるのは若者の当然の権利、という考えが根付いている」と話す。

引用元:
「思春期から始まる性の悩み」に向き合う産婦人科医ら 「ユースクリニック」を広める課題とは(京都新聞)