約4.4組中1組が不妊のため病院を受診
大阪公立大学は3月24日、女性の性染色体のうちX染色体の1本が失われた状態のLoss of X chromosome(LOX)と不妊症の関連を検証し、不妊症の患者は白血球中のLOX細胞の割合が有意に高いことが明らかになったと発表した。


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この研究は、同大大学院医学研究科女性生涯医学 菊池太貴大学院生、三瘻也准教授、橘大介教授によるもの。研究成果は、「Reproductive BioMedicine Online」にオンライン掲載されている。女性の社会進出は世界規模で進んでおり、それに伴う晩婚化、妊娠率の低下は避けられない課題となっている。日本でも不妊に悩むカップルは年々増加しており、現在約4.4組中1組が不妊のため病院を受診している。近年の不妊治療の発展は目覚ましいが、一方で自然妊娠を望む方も多くいる。しかし、自然妊娠が可能かどうかを予測することが難しいのが現状である。

特定の疾患との関連が報告されている「後天的性染色体の喪失」に着目
生物の遺伝子情報は染色体上に存在し、性別を決定する染色体は性染色体と呼ばれる。基本的には、男性はX染色体とY染色体を1本ずつ持ち、女性はX染色体を2本持っている。性染色体は性別を決める以外の役割を持たないとされていたが、近年の研究により、性染色体の異常がさまざまな疾患と関与することが明らかとなってきた。

研究グループが着目したのは「後天的性染色体の喪失」という現象である。加齢により男性ではY染色体が、女性ではX染色体の1本が失われることがあり、それぞれLoss of Y chromosome(LOY)、Loss of X chromosome(LOX)と呼ばれている。LOYはアルツハイマー型認知症、糖尿病、心臓病など、LOXは急性骨髄性白血病、肺炎などに関連があることが報告されている。そこで、LOXが自然妊娠可能か予測する指標になるのではないかと考えた。

白血球中のLOX細胞の割合0.9%以上で自然妊娠しにくい可能性
今回の研究では、20〜40代の自然妊娠した女性123人および自然妊娠に至らなかった女性281人の白血球中のLOXを比較検証した。検証には、研究グループが開発したLOX細胞の割合を高精度で検出する新しいPCR法を用いた。その結果、不妊症の患者の方がLOX細胞の割合が有意に高く、白血球中のLOX細胞の割合が約0.9%を超えると自然妊娠しにくくなる可能性を明らかにした。

また、自然妊娠が可能かを予測する指標として用いられることがある抗ミュラー管ホルモンとLOXの関連を検証したところ、今回測定したLOXとは関連がないことが判明した。これらの結果から、従来の抗ミュラー管ホルモンとLOXを組み合わせることにより、これまでよりも正確に自然妊娠が可能かどうかを予測することができるようになるのではないかと考えられる。

自然妊娠と不妊治療のどちらを選択するべきか―LOX測定での予測に期待
妊娠はさまざまな要因が複雑に絡み合うデリケートな問題であり、自然妊娠が可能かを正しく予測することは容易ではない。さらに、妊娠が可能な年齢は短く、時間を無駄にすることはできるだけ避けることが望ましい。「不妊に悩む方のLOXを測定することにより、自然妊娠が期待できるのか、それとも体外受精などの不妊治療を早期に行った方が良いのかを判断できるようになることが期待される」と、研究グループは述べている。(QLifePro編集部)

引用元:
自然妊娠の可能性予測に抗ミュラー管ホルモンとLOXの組合せが有効か―大阪公立大(医療NEWS)