乳がんと卵巣がんの原因遺伝子「BRCA1」「BRCA2」が、ぼうこうや甲状腺、頭頸(とうけい)部、皮膚の四つのがんでも発症リスクを増大させていた――。そんな研究結果を、理化学研究所や東京大などの国際共同チームがまとめた。特に女性はぼうこうがんが約24倍も高かった。

 遺伝子は、四種類の塩基の並びであるDNA(デオキシリボ核酸)によって作られている。一部のがんでは、この並びに1カ所でも変異が生じることで発症リスクが大きくなる。本来、がんを抑制するはずのBRCA1、BRCA2の病的変異が乳がんと卵巣がんのリスクを高めることはよく知られている。

 チームは、ぼうこうがんや骨腫瘍など九つのがんの患者が持つBRCA1とBRCA2に着目し、「バイオバンク・ジャパン」に保管されている4万2331人のゲノム(全遺伝情報)を解析した。

 その結果、二つの遺伝子の機能に影響を及ぼす可能性のある105個の病的変異を特定した。その保有率から発症リスクを算定すると、BRCA1に変異がある人は、ない人と比べて甲状腺がんが5・25倍、BRCA2に変異がある人は、皮膚がんが6・13倍、ぼうこうがんが4・67倍、頭頸部がんが3・89倍、甲状腺がんが3・04倍それぞれ高かった。

 また、甲状腺、ぼうこう、頭頸部の三つのがんについて性別ごとに算出したところ、ぼうこうがんでは女性が23・6倍に対し、男性は2・4倍と大きな違いがみられた。

 さらに、何歳までにどのくらいの確率で発症する可能性(累積リスク)があるか調べると、二つの遺伝子に病的変異がない人は、85歳までに発症する可能性が5%未満だった。一方、BRCA1に変異があると甲状腺がんは10・4%、BRCA2に変異があると皮膚がんは8・7%、頭頸部がんは8・2%、ぼうこうがんは6・4%だった。ぼうこうがんの性別の累積リスクは女性が12・8%に対し、男性は5・6%だった。

 それぞれの遺伝子に病的変異がある乳がんや卵巣がんの場合、分子標的薬「PARP」が有効だ。現在、公的医療保険が適用されている。理研生命医科学研究センターの桃沢幸秀・副センター長(人類遺伝学)は「さらにデータを積み重ねることで、今回関係が明らかになったぼうこうがんや甲状腺がんなど四つのがんについても将来、適用が拡大されることが期待できる」と話している。

引用元:
乳がんと卵巣がんの原因遺伝子、他の四つのがんでも発症リスクに(auWebポータル)