妊娠を望むカップルが一定期間(約1年間)妊娠しない状態等を不妊症といいます。
2022年4月から人工授精および体外受精、顕微授精などの高度生殖補助医療(ART)などの治療が保険適用されたことで治療周期数は増え、ARTによる出生児数は増えています。日本産科婦人科学会の23年の統計(下記グラフ)によれば、総治療周期数は約56万、生産周期数は8万2,250と、ともに過去最高でした。日本の年間出生数(72万7,277:2023年人口動態統計より)の約9人に1人がARTで生まれている計算になります。
治療周期数が最も多かった年齢も22年の42歳から39歳へとシフトしました。この背景には40歳以上43歳未満は胚移植回数の保険適用が1子あたり通算3回(40歳未満は6回まで)に減るため、駆け込み需要が高まったとみられます。
ART治療周期数 2023
ART妊娠率・生産率・流産率 2023
身体的、経済的負担の少ない調節卵巣刺激法
治療方針はカップルの不妊原因、女性の年齢、卵巣予備能の主に3つを鑑みながら決めていきます。まずはタイミング法、人工授精といった治療を試し、効果が得られない場合はARTを検討します。
体外受精や顕微授精の段階で、年齢が若く卵巣予備能が一定以上に保たれている場合「調節卵巣刺激法」が選択肢として挙げられます。通常、女性の卵巣からは月1個の卵子しか成熟しませんが、排卵を誘発する薬を使うことにより、1回の採卵で複数の卵子を採取し、妊娠の成功率を高められます。採卵が繰り返さないことは身体的、経済的負担が少なく、2人目誕生に繋げられる可能性があると期待されています。
最近のトピックとしては、受精卵の染色体異常を調べる着床前胚染色体異数性検査(PGA‒A)の対象拡大があります。これまでは反復流産などに適用が限定されていましたが、35歳以上の方の選択が可能になりました(自由診療)。
プレコンセプションケアで将来の妊娠、出産に備える
近年では若い世代の男女が自身の健康に向き合い、健康管理をする「プレコンセプションケア」が注目されています。これは不妊のスクリーニング検査ではなく、生活習慣の見直しや健康チェックを通じて将来の妊娠、出産に備えるというもの。不妊治療が成功するかどうかは年齢に大きく左右されます。できるだけ若いうちに対処する方が有効な治療を行いやすいので、何か体の異常を感じた場合はすぐに医療機関を受診してください。
医療機関選びについては、日本生殖医学会認定生殖医療専門医がいることが目安になるでしょう。妊娠というのはご夫婦の『妊娠する力』の総和で決まります。どんな治療をするのが最善なのか、自分たちが最も納得できる形で続けられるよう二人でよく考え、力を合わせて主体的に関わっていくことが大切です。
引用元:
30代の治療が増加し、ARTによる出生児数は過去最高に(読売新聞オンライン)