厚生労働省が3月5日、2026年度診療報酬に関する関係告示の公布・通知の発出を行いました。あわせて動画やパワーポイントスライドを用いた、分かりやすい解説も行われています。
2月13日の答申時点では明らかにされていなかった詳細な基準や要件の内容が示されています。Gem Medでは、順次、告示・通知内容をお伝えしていきます。
●厚労省の2026年度改定に関するサイトはこちら
今回は、「周産期医療」に関する診療報酬・施設基準について、答申段階では明らかにされなかった点を眺めてみましょう(関連記事はこちら)。
産科管理加算、混合病棟では「産科区域の特定」などを要件化
少子化が進展する中、妊婦の減少によって「産科病棟」を維持することが困難となってきています(妊婦が減少し、空床が増えてしまう)。このため、ベッドの稼働を上げるために「混合病棟」(産科患者と他診療科の患者が混在する病棟)が増えてきていますが、▼16.7%で男性患者を受け入れている▼38.5%で「産科区域の特定」をしていない▼34.7%で産科と他科患者を「同時」に受け持っている▼16.2%で分娩第2期(子宮口全開大から胎児娩出まで)でも助産師によるケアが中断することが「いつも」ある―などの課題もあり、適切な対応(産科区域の特定など)が強く求められています。
そこで、2026年度の診療報酬改定では「母子の心身の安定・安全に配慮した産科における管理」や「妊娠・産後を含む継続ケアを行う体制」を、新加算で評価することとなりました。
(新)産科管理加算(1日につき)
1 病院の場合:250点
2 有床診療所の場合:50点
【対象患者】
▽分娩を伴う入院中の患者
【算定要件】
▽「母子の心身の安定・安全の確保を図ることができる環境の整備、その他の事項」に関する施設基準を満たす医療機関が、分娩を伴う入院中の患者(分娩開始日以降に限る)に対し、必要な産科管理を行った場合に【産科管理加算】として所定点数(入院料)に上乗せを行う
また3月5日に示された通知「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」では、詳細な施設基準が明らかにされました。
●病院(加算1)
(1)産科または産婦人科を標榜し、分娩を実施し、妊娠期から産褥期にかけて母体、胎児および新生児を管理する病棟(産科患者、当該患者が分娩した新生児を受け入れる病棟に他科患者を併せて受け入れる場合(混合病棟)を含む。以下、産科病棟)を有する医療機関である
(2)母子の安定・安全の確保を図ることができる十分な療養環境として、次のアまたはイを満たす
ア 「産科患者、当該患者が分娩した新生児のみ」(産科病棟内で産後ケア事業を実施して いる場合は、その妊産婦や乳児を含む)を受け入れる病棟は次のすべてを満たすこと
▽当該病棟が届け出ている入院基本料等の看護職員配置を満たす
▽当該病棟において、看護職員の最小必要数の「5割以上が助産師」である
▽当該病棟に「助産師を常時1人以上配置」する
▽母子の安定・安全の確保を行うに当たって適切な管理を行うことができる助産師数を配置する
イ 産科患者、当該患者が分娩した新生児を受け入れる病棟に、他科患者を併せて受け入れる病棟(混合病棟)では、次のすべてを満たすこと
▽当該病棟が届け出ている入院基本料等の看護職員配置を満たす
▽当該病棟に「助産師を常時1人以上配置」する
▽「産科区域の特定」を行う
▽母子(産科区域内で産後ケア事業を実施している場合は、その妊産婦や乳児を含む)の安定・安全の確保を行うにあたって適切な管理を行うことができる助産師数を当該産科区域に配置する
▽産科区域の特定に当たっては、構造上、▼「病棟内のその他の病室等との間に扉を設ける」などの区分をする▼少なくとも「他科患者等が通常立ち入ることのない」よう区域を区分する―ことが明確になるような設備を設ける
→この場合、「産科区域に配置する助産師数」も当該病棟の看護職員数に含めてよい
▽「産科区域に配置する助産師」は、「産科区域以外の業務を併せて行う」ことが可能だが、「産科区域」と「それ以外の区域」のいずれの患者にも必要な看護が提供できるよう、病棟に適切な看護職員数が確保されるよう配慮する
(3)医療機関内に、▼助産▼産科患者・新生児のケア▼母子保健や福祉に関する事業者等との地域連携—のすべてに5年以上の経験を持ち、「助産に関する専門知識・技術を有する」と医療関係団体等から認証された「専任の助産師」を1名以上配置する
(4)医療機関で、助産師外来を含む妊婦健康診査や妊娠期の保健指導を実施する
→当該産科病棟・産科区域に「院内の産科外来等で妊婦健康診査や保健指導等の妊娠期にかかるケア・指導を行う助産師」を配置する
→この助産師が従事する場合は、「当該産科病棟の看護職員としての勤務時間数」に1日あたり病棟全体で4時間まで含めることを認める
(5)医療機関で「院内助産」を開設することが望ましい
(6)育児期までの切れ目のない継続したケアの実施を行うために、「当該病棟、医療機関、関連する医療機関」において産後ケア事業を実施することが望ましい
●有床診療所(加算2)
(1)産科または産婦人科を標榜し、分娩を実施し、妊娠期から産褥期にかけて母体、胎児および新生児を管理する有床診療所である
(2)母子の安定・安全の確保を図ることができる十分な療養環境として、次のアまたはイを満たす
ア 「産科患者、当該患者が分娩した新生児のみ」(有床診内で産後ケア事業を実施している場合は、その妊産婦や乳児を含む)を受け入れる有床診では、次のすべてを満たす
▽有床診が届け出ている入院基本料等の看護職員配置を満たす
▽有床診に、母子の安定・安全の確保を行うにあたって適切な管理を行うことができる助産師数を配置する
イ 「他科の患者を併せて受け入れる有床診」では、次のすべてを満たす
▽可能な限り「産科区域の特定」を行う
▽母子(有床診療所内で産後ケア事業を実施している場合は、その妊産婦や乳児を含む)の安定・安全の確保を行うにあたって適切な管理を行うことができる助産師数を当該産科区域に配置する
(3)以下を満たす
▽医療機関内に、▼助産▼産科患者・新生児のケア▼母子保健や福祉に関する事業者等との地域連携—のすべてに5年以上の経験を持ち、「助産に関する専門知識・技術を有する」と医療関係団体等から認証された「専任の助産師」を1名以上配置する(病院の施設基準の(3))
▽(5)医療機関で「院内助産」を開設することが望ましい(病院の施設基準の(5))
▽育児期までの切れ目のない継続したケアの実施を行うために、「当該病棟、医療機関、関連する医療機関」において産後ケア事業を実施することが望ましい(病院の施設基準の(6))
(4)医療機関で、助産師外来を含む妊婦健康診査や妊娠期の保健指導を実施する
産科管理加算の新設(2026年度診療報酬改定)
多くの分娩取り扱い施設が、本加算を活用し「妊産婦への適切な対応」を積極的に行うことに期待が集まります。
なお、妊産婦の負担軽減に向けた「正常分娩の現物給付化+現金給付」も遠くない将来に実現する見込みです(関連記事はこちら
引用元:
「母子の心身の安定・安全に配慮した」産科病棟を、【産科管理加算】(病院250点、有床床50点)で新たに評価(GemMed)