男性不妊治療を行う医療法人社団マイクロ会 銀座リプロ外科は2月25日、全国の20代・30代の既婚で子どものいない妊活中の社会人女性200人を対象に調査を実施した。37.5%が妊活に関連して収入が減少した経験があると回答し、さらに82.0%が仕事との両立に負担を感じているとした。男性不妊の専門的なエコー検査を受けた経験は17.0%にとどまった。
こども家庭庁が2026年度から、不妊治療で遠方の医療機関に通院する際の交通費を最大8割補助する方針を示している。こうした制度拡充が現場の後押しとなることが期待される一方で、経済・時間・情報の各側面に課題が残っている実態が明らかになった。調査は2026年2月14日〜17日にわたり行い、クロスマーケティング社「Qiqumo」を利用して調査した。
経済的な側面の調査では、妊活に関連して収入が減少した経験について、「〜5万円程度」が17.0%、「5〜10万円程度」が8.0%、「10〜30万円程度」が7.5%、「30万円以上」が5.0%となった。合計で37.5%が何らかの収入減少を経験していることが分かった。交通費補助の拡充は大きな支援策ではあるものの、欠勤や業務調整による収入減という別の経済的コストが存在しているという。
妊活と仕事の両立は、「強く感じた」が46.5%、「ある程度感じた」が35.5%となり、合計82.0%が両立に負担を感じていると回答した。妊活は私的な問題であると同時に、就労環境に直接影響を及ぼす課題であることがうかがるとした。
具体的な仕事面への影響は、「有給休暇の取得が増えた」が33.5%で最も多く、「遅刻・早退が増えた」(24.5%)、「当日欠勤が増えた」(23.5%)となった。さらに、「退職を検討した」と回答した人は18.0%、「転職を検討した」は15.5%にのぼり、妊活がキャリア選択そのものに影響を与えている実態が明らかになった。
職場への開示状況は、「誰にも伝えていない」と回答した人が44.0%となった。一方で「上司に伝えている」は33.0%、「一部の同僚に伝えている」は22.5%だった。
妊活を公にしづらい環境が一定程度存在していることがうかがえ、職場で感じた不安は、「休みを取りづらい」が43.0%、「周囲に迷惑をかけている」が39.0%、「収入が減る」が33.0%となり、心理的負担も大きいことが示された。
さらに、新年度や人事異動の時期に妊活や受診を控えた経験がある人は20.5%にのぼり、制度的な節目が行動に影響している可能性も浮き彫りになった。
妊活の期間は、「6カ月未満」が22.0%、「6カ月〜1年未満」が23.0%、「1年以上2年未満」が22.5%、「2年以上」が14.0%だった。
1年以上取り組んでいる人は36.5%に達し、長期化する傾向が見られる。また、「様々な不安から妊活を諦めようと思ったことがある」と回答した人は、「何度もある」が27.0%、「一度はある」が25.5%で、合計52.5%と半数を超えた。妊活は身体的負担だけでなく、精神的にも大きな影響を及ぼしていることが分かった。
不妊治療に通院している(していた)と回答した134人に医療機関までの片道時間を調査したところ、「1時間〜2時間未満」が18人(13.4%)、「2時間以上」が6人(4.5%)となり、合計24人、約17.9%が片道1時間以上をかけて通院していると回答した。
こども家庭庁が2026年度より、標準的なルートで片道1時間以上かかる場合の交通費を8割補助する方針を示している。
今回の結果は、実際に通院している層の中でも約2割が政策対象条件に該当する可能性を示す一方で、前述の通り収入減少や職場環境、情報不足など複合的な負担も確認され、交通費支援のみで妊活の課題が解消するわけではないことも示唆しているとした。
男性不妊に関する認知は、「不妊の原因の半分は男性にある」と知っている人は77.5%と一定の認知があった。
しかし、男性不妊の原因の約4割を占めるとされる「精索静脈瘤」を知っている人は27.5%にとどまり、具体的な疾患に対する理解は十分とはいえない結果だったという。
また、パートナーが精液検査を受けた経験があると回答した人は54.0%、男性不妊診療として「エコー検査」を受けた経験がある人は17.0%にとどまった。
エコー検査を受けていないと回答した人(n=166)に理由を尋ねたところ、「検査自体を知らなかった」が53.6%で最も多く、「必要性を感じなかった」が30.7%、「どこで受けられるかわからなかった」が24.7%となった。費用や時間よりも、まず情報不足が大きな障壁となっていることが明らかになった。
以上の結果から、妊活の負担は交通費といった直接的な金銭コストにとどまらず、収入減少、職場環境、心理的圧力、情報格差など、複合的な要因によって形成されていることが示唆された。
経済支援と並行して、就労環境の整備や男性不妊に関する情報提供の充実といった包括的な支援策が求められるが、制度拡充により、実際に妊活をためらっていた層の後押しとなることが期待されるとした。
永尾光一院長は、「不妊治療の交通費補助が拡充されることは、大きな前進だと考えている。一方で、今回の調査結果からも分かる通り、妊活の負担は交通費だけにとどまらず、収入減少や職場での両立困難など、複数のコストが重なっている現実がある。当院ではスーパーマイクロサージャリーによる精索静脈瘤手術を専門的に実施し、日帰りでの治療を可能にしている。入院を伴わない治療体制を整えることで、遠方から来院される方でも宿泊の負担を抑えながら、仕事と両立しやすい環境づくりに取り組んでいる」とコメントした。
引用元:
男性不妊治療の銀座リプロ外科、妊活中の女性200人を調査 37.5%が収入減、44%が職場に未開示(Yahoo!ニュース)