まだまだ空気は乾燥し、寒さも続く。喉などの粘膜がカサカサになって、ウイルス感染症にもかかりやすい。新型コロナウイルスについては、慣れや感染対策への疲れもあって緊張感が薄まっているようにも見えるが、今も高齢者や基礎疾患を有する人は重症化するリスクが残っていることを改めて覚えておきたい。併せて、再び流行中のインフルエンザにも気を付けたい。

 ◇治療薬を知らない人多い

 新型コロナについて、なゆたの森病院(佐賀市)院長、青木洋介氏は「不安をあおる必要はないが、65歳以上の高齢者や基礎疾患を持っている人、特に後期高齢者で長年基礎疾患を患っている人は感染すると重症化するリスクが高いので、症状が軽くても早めに受診して、治療のタイミングを逃さないようにしてもらいたい」と注意を促す。

医師の青木洋介氏
医師の青木洋介氏


 最近は、コロナへの感染が疑われても受診しないケースも見受けられるが、青木氏は「コロナをやっつけることができる抗ウイルス薬の存在を知らない人が多い。風邪と同じ対症療法しか受けられないと思って受診していないケースもあるのではないか」と指摘する。

 また、コロナと診断された人の中には、咳や息切れなどがひどくなってから薬を飲めばいいと思っている人もいると話し、「抗ウイルス薬は発症から早期に飲まないと効果が期待できない場合が多い。コロナと診断を受けた日に飲む方が健康被害を抑えられることも理解しておいてほしい」と付け加える。

 ◇インフルも甘く見ないで

 インフルエンザにも注意が必要だ。高齢者や基礎疾患のある人は肺炎など、子どもは肺炎や中耳炎、5歳未満はインフルエンザ脳症などで入院するケースも少なくない。日本感染症学会インフルエンザ委員会委員も務める青木氏は「インフルエンザにかかると若い人でも高熱を出したり肺炎を起こしたりすることがあるので、甘く考えない方が良い」と呼び掛ける。

 さらに、「現時点ではコロナよりもインフルエンザの方が怖いのではないかと思っている」との持論を述べる。その理由として、「ウイルスというは、多くの人に感染しつつも、その人たちが比較的元気に動き回ることで感染を拡大し、一般的な風邪を引き起こすウイルスとなって人間界に長く残る。新型コロナも最初は強い毒性を持っていたが、それがだんだん変わって、ヒトに馴染みつつある。一方で、インフルエンザはヒトとの距離が詰まっていない」と説明する。

 感染症にかからないよう、手洗いやうがい、咳が出るときはマスクを着けるなどの対策を心掛けてほしいという。「それが結果的に風邪、インフルエンザ、新型コロナの全てを予防することにつながる」。

 ◇7割「コロナへの緊張感薄れ」と回答

冬の感染症に関する実態調査結果のポイント(塩野義製薬提供)
冬の感染症に関する実態調査結果のポイント(塩野義製薬提供)


 塩野義製薬が実施した冬の感染症に関する実態調査では、全体の約6割が感染症への「慣れ」、約半数が感染症対策への「疲れ」を感じていると回答。また、約7割が「社会全体として新型コロナへの緊張感が薄れている」と答えた。65歳以上の回答者のうち、自身がコロナにかかった場合に「重症化しやすい」「重症化リスクがある」と認識しているのは半数だった。調査は25年12月12〜14日に20〜89歳の男女1200人を対象にインターネットを通じて行われた。

 こうした調査結果について、青木氏は「感染症への警戒感はもともと個人差が出るものだ。多くの人にとって新型コロナは不安に感じるものではなくなったのだと思う。元気な高齢者は感染しても一般的な風邪で終わるかもしれないが、今も、高齢者や基礎疾患のある人は重症化する恐れがあることを知っていてほしい」と話している。(及川彩)

引用元:
重症化リスク忘れないで 〜コロナ、インフルどちらも〜(時事メディカル)