量子科学技術研究開発機構(QST)は9日、早期の乳がん患者に対して切除手術を行わない放射線治療の一種である重粒子線治療が有効だとする臨床試験の結果を発表した。2013年から19年までに60歳以上の患者12人が参加した試験では、1人が再発し切除手術を受けたが、治療から5年たっても全員生存していたという。

早期の乳がんに対する治療は切除手術が標準的な方法とされる。ただ乳房への手術はQOL(生活の質)の低下をはじめ、抵抗を感じる患者も多く、手術を行わない治療法が期待されている。重粒子線治療は正常組織への影響を抑えながら、がん細胞のDNAを壊し治療できる。一部のがんではすでに公的医療保険の適用対象となっている。

QSTの研究グループは、早期の乳がん患者に対して手術せずに重粒子線の治療を行う臨床試験を13年からスタート。計12人の患者が参加した。重粒子線の照射後に軽微な皮膚の変化や皮膚炎といった副作用が報告されたが、重い副作用はなかったという。今後は抗がん剤との併用や、患者の年齢を広げた臨床試験などを通じて検証を進め、多くの患者を治療できるようにすることを目指す。

研究成果をまとめた論文は放射線治療に関する国際誌に掲載された。

引用元:
早期乳がん、切らない重粒子線治療が有効 量子科学技術研究開発機構(日本経済新聞)