ヒトパピローマウイルス(HPV)は多くの女性が生涯に一度は感染する一般的なウイルスですが、子宮頸(けい)がんをはじめとする病気の発生に関連しています。そんなHPVへの感染を予防するHPVワクチンを10代の女性に接種することで、その後の危険なウイルス感染率が激減したとの研究結果が報告されています。

Eurosurveillance | Human papillomavirus prevalence in first, second and third cervical cell samples from women HPV-vaccinated as girls, Denmark, 2017 to 2024: data from the Trial23 cohort study
https://www.eurosurveillance.org/content/10.2807/1560-7917.ES.2025.30.27.2400820



Vaccines work: Cohort data from Denmark show real-world evidence of stable protection against HPV-related cervical cancer | EurekAlert!
https://www.eurekalert.org/news-releases/1090640

HPVには100種類以上もの型がありますが、そのうち少なくとも14種は子宮頸がんを引き起こす可能性がある「高リスク型」と考えられています。日本でも年間約1万人が子宮頸がんに罹患(りかん)し、約2800人が亡くなっています。なお、子宮頸がんの95%以上はHPVに感染したことが原因です。

デンマークでは、2008年から14歳の少女に対して4種類のHPV感染リスクを減らす4価HPVワクチン接種が行われ、2017年からは計9種類のHPVを対象にした9価HPVワクチン接種が開始されています。そこでデンマークの研究チームは、10代の頃にHPVワクチンの接種を受けた女性の子宮頸部の細胞サンプルを分析し、HPVへの感染率を調べる研究を行いました。

被験者は、2017〜2024年にかけてデンマークの子宮頸がん検診で子宮頸部の細胞サンプルを採取された22〜30歳の女性でした。研究チームは合計8659人の女性を対象に細胞サンプルの分析を行い、ワクチン接種を受けた女性と接種を受けていない女性のHPVの感染率や感染持続期間などを比較しました。



10代の少女へのHPVワクチン接種が始まる前、デンマークの子宮頸がん患者の約74%に「16型」または「18型」のHPVが見つかっており、全体では15〜17%の女性がこれらのHPV型に感染していました。「16型」と「18型」はいずれも、2008年から接種が始まった4価HPVワクチンでカバーされています。

HPVワクチン接種を受けた女性の子宮頸部の細胞サンプルを分析した結果、2021年の時点では「16型」および「18型」に感染している女性は1%未満となり、ほぼ根絶状態になっていることが判明。また、HPVワクチン接種を受けていない女性の感染率も5%程度にとどまり、これは集団免疫が獲得されたことを示唆しています。

一方で、被験者の約3分の1はHPVワクチンでカバーされていない高リスク型のHPVに感染していました。また、これらのHPV型への新規感染は、HPVワクチン接種を受けた女性の方が受けていない女性よりも多かったとのことです。

研究チームは、「HPVワクチンは子宮頸がんの70%以上を引き起こすHPV型であり、ワクチンでカバーされるHPV16/18型の感染を減らすのに効果的です。しかし、ワクチンでカバーされない高リスクHPV型に感染した女性の割合は依然として高く安定しており、これらの世代に対するスクリーニングはそれほど集中的ではなくていいものの、継続する必要があることを示しています」と結論付けました。

引用元:
10代へのHPVワクチン接種により子宮頸がんリスクの高いウイルスへの感染率が激減して1%未満になった(Gigazine)