「きちんと検診を受けていたのに、なぜ−」。千葉県内の会社員、ちひろさん(53)=仮名=は、医師から「乳がん」と告げられた瞬間、頭が真っ白になった。

 2021年9月、市の乳がん検診でマンモグラフィー(乳房X線検査)を受けた。結果は「精査不要」。しこりのような違和感があったが、検診の際に「違うと思う」と言われ、深刻には捉えなかった。「検診結果の通知にも『精査不要』とあって、安心してしまった」と振り返る。

 しかし、その後も胸の違和感は続いた。翌年、職場の婦人科検診で超音波検査を受けられることを知り、すぐに申し込んだ。「同じ場所ばかり何度も撮影され、何かあると思った」。後日届いた封筒には、病院への紹介状が入っていた。


出典:厚生労働科学研究費補助金「乳がん検診における乳房の構成(高濃度乳房を含む)の適切な情報提供に資する研究」2017年度

 精密検査の結果は「陽性」。グレード1の初期がんだった。「頭がぼんやりして、どう返事したのか覚えていない」とちひろさん。手術は乳房温存。放射線治療を経て、今もホルモン療法を続ける。「最初の検診で超音波検査も受けられていたら、もっと早く見つかったのではと思うことはある。けれど、この経験があったからこそ自分の体を大事にしようと思えた」。

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 国の指針によると、乳がん検診では40歳以上を対象に、2年に1度、マンモグラフィーをするように定められている。しかし、乳房の中の乳腺の割合が多い「高濃度乳腺」の場合、マンモグラフィーでは乳房全体が白く写り、がんの影が見つけづらい。ちひろさんも、そのタイプだった。

 県がんセンター乳腺外科の羽山晶子医師は、検診を受けていれば「安心」というわけではないと警鐘を鳴らす。「(しこりや乳頭の分泌液など)自覚症状がある人は、自ら医療機関を受診することが大切」と訴える。

 羽山医師は「検診は完璧ではないと知ってほしい。大切なのは自分の乳房の変化に気づくこと」とした上で「月に一度の自己触診を習慣にし、検診は毎回同じ施設で受けると比較しやすい。少しでも違和感を覚えたら、検診を待たずに早めに医療機関で受診してほしい」と呼びかけている。

 検診を「受けること」が目的ではなく「自分の体に関心を持つこと」が出発点。その意識こそが、見つけにくいがんを早く見つけるための第一歩になる。

(山崎恵)

引用元:
検診を受けていたのになぜ 「精査不要」の翌年、乳がん陽性 日本人女性に多い高濃度乳腺のリスクとは〈見えない乳がん 千葉から考える検診制度〉(Yahoo!ニュース)