さまざまな病気に負けないための「免疫力」は、日々の食事や生活習慣の改善によって、大幅に高めることができるそうです。しかし、巷に溢れる健康や免疫力に関する知識は刻一刻とアップデートされ、間違った情報や古びてしまったものも少なくありません。本当に現代人が知っておくべき知識とは何でしょうか。著書『世界最新の医療データが示す最強の食事術 ハーバードの栄養学に学ぶ究極の「健康資産」の作り方』が話題の満尾正医師が解説します。

写真はこちらから→前立腺がん、糖尿病...「亜鉛」不足がもたらす深刻な不調【世界最新の医療データが示す最強の食事術】

不足するとDNAレベルで問題が起きる栄養素・ 亜鉛
◆数百種類に及ぶ酵素の中心
亜鉛は、数百種類にも及ぶ酵素の中心で働いており、それら酵素に関与してさまざまな代謝を行います。タンパク質や乳酸、アルコールの代謝もその一例です。なかでも重要な働きに、体を酸化から守る錆止めの働きや有害金属を体外へ排泄する働きがあります。

亜鉛の働きでまず紹介したいのは、やはり免疫機能の維持です。

2016年に発表されたアメリカの研究論文では、亜鉛が免疫機能を高めることが示されました。

その研究は、65歳以上で血中亜鉛濃度が70以下と低い人たちを2つのグループに分け、3カ月間毎日、一方には30ミリグラムの亜鉛を、もう一方にはプラセボを服用してもらうというものです。

すると、亜鉛を服用したグループでは血中亜鉛濃度が上昇すると同時に、免疫力を司るリンパ球の一種である「T細胞」を増やす効果が見られたのです。

免疫機能改善のほかにも、亜鉛は多岐にわたる働きをします。

たとえば、骨の形成、糖代謝やインスリンの合成・維持、肝臓での重要なタンパク質の合成、皮膚細胞の正常化、味蕾細胞(味を感じ取る細胞)の形態維持、性ホルモンの分泌維持、下垂体機能の維持など、健康を守るためには亜鉛が欠かすことのできない栄養素であることがわかります。

各臓器の平均的な亜鉛濃度を見ると、前立腺、精液という男性ならではの部位に亜鉛は多く存在しています。亜鉛が不足すると男性機能が弱まるという話を聞いたことがあるかも知れませんが、その通りで、亜鉛は性ホルモンの分泌と維持に欠かせません。

もちろん、女性には無縁というわけではありません。

網膜にも多く、足りないと視力が落ちてしまいます。

脳で不足すれば、認知機能に影響が出ます。

代謝に大きく関わる肝臓、腎臓、膵臓などの部位では、亜鉛の不足はその臓器そのものの機能を落とすことを意味します。

さらに亜鉛は、DNAの転写や修復といった重要な作業にも関わっています。亜鉛は、細胞分裂をするときにジッパーを開けるような作用をするため「ジンク(亜鉛)・フィンガー」とも呼ばれています。

亜鉛が不足すれば、DNAレベルで問題が起きるのです。

欠乏による症状については後述しますが、とにかく亜鉛不足を放置するのは非常にリスキーだということをまずは覚えておいてください。

引用元:
前立腺がん、糖尿病…「亜鉛」不足がもたらす深刻な不調〈世界最新の医療データが示す最強の食事術〉