離島の長崎県上五島病院が、今月から分娩(ぶんべん)(出産)対応を休止し、週2日の産婦人科の外来診療をスタートした。妊婦は妊娠35週を目安に本土の宿泊施設に移り、ハイリスク妊娠・分娩に対応できる周産期母子医療センターを備えた県内四つの国公立病院で出産する。しかし地元住民の間には、民間医療機関の利用を認めるよう求める意見や、妊婦とその家族の精神面を心配する声もある。
上五島病院は上五島地区唯一の分娩施設だったが、少子化で生まれる赤ちゃんの数は年々減少。医師や助産師不足に加え、出産年齢の高齢化などに伴いハイリスク妊婦の割合が増しているとし、「苦渋の決断」と分娩を休止した。今月から長崎大学病院の産婦人科医が上五島病院を訪れ、週2日外来診療に当たっている。
上五島病院が今月中旬に開いた住民説明会には、子育て世代を中心に約60人が出席。一宮邦訓院長が妊婦健診から出産までの流れを説明した。
それによると、妊娠35週までは同病院で健診を受けるが、12週の健診、20週の胎児スクリーニングで、本土の長崎大学病院、長崎みなとメディカルセンター(いずれも長崎市)、長崎医療センター(大村市)、佐世保市総合医療センターのいずれかを受診。出産も受診した病院に限定する。緊急時はヘリで本土に搬送するなど上五島病院と4病院が連携して対応する。
出席者からは「リスクが低い妊婦も4病院に限定するのは過剰な対応ではないか。民間病院も自由に選択させてほしい」といった要望が相次ぎ、既に民間を受診している妊婦もいて病院変更を求められたとして不安感への対応を求めた。民間と出産費用が異なるため平準化を求める意見もあった。
上五島病院側は「上五島に常勤の産婦人科医がいないことがハイリスク。安心・安全を最優先とし、四つの周産期母子医療センターに一本化したい。例外を認めると安全を担保できない」などと答え、理解を求めた。
新上五島町は分娩休止を受け、ハイリスク妊婦に限定していた本土までの海上交通費補助の対象を全妊婦に拡充▽付き添い家族の海上交通費補助の新設▽1泊上限7千円の宿泊費補助を35泊から37泊に拡充(出産日が遅れた場合は相談に応じる)−などの支援策を講じている。
引用元:
10月から分娩休止 長崎県上五島病院「例外認めると安全を担保できない」 週2日の外来診療スタート(長崎新聞)