医療機関における患者等と家族等との面会は、両者の生活の質を保つうえで重要であり、各医療機関でコロナ禍「前」の「通常の面会方法(頻度、時間など)へ段階的に戻す」ことを検討すべきである—。

具体的には、面会者が感染症を示唆する症状(発熱、咳嗽、院疼痛、腹痛、下痢など)を呈しておらず、かつ10日以内にコロナ感染症の罹患歴がない場合には、「マスク着用および手指衛生をお願いしたうえで、一般的には面会は可能」と考えられる—。

各種の理由で「対面での面会」が困難な場合には、患者等・家族等に十分説明するとともに、オンライン面会などの代替手段を提示するべきである—。

厚生労働省は10月20日に事務連絡「医療機関における面会について」を示し、こうした「学会の考え方」にそって、各医療機関で面会の在り方を考えるよう要請しました。

医療機関における患者等と家族等との面会は、両者の生活の質を保つうえで重要
2020年初めから本邦でも猛威を振るった新型コロナウイルスコロナ感染症の感染拡大を防止するために、多くの医療機関では「面会制限」が行われました。

こうした医療現場における「感染対策の充実」などによってコロナ感染症が徐々に落ち着き、新型コロナウイルス感染症は2023年5月8日に5類感染症へ類型移行。「通常の医療提供体制」への移行が進められ、昨年(2024年)3月でコロナ患者医療費への公費支援や、医療機関への病床確保料等交付などは終了しました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

もっとも、5類移行等で「コロナウイルスが消滅した、危険性がなくなった」わけではなく、今夏(2025年夏)にも再流行が見られました(関連記事はこちら)。状況にマッチした「感染防止策」と「医療提供体制の確保」が重要テーマであることに変わりはありません。

この点、厚労省は2023年10月20日に事務連絡「新型コロナウイルス感染症の対応に関する医療機関向けの啓発資材について」を示し、面会については「その重要性(患者の精神的安定の確保など)」と「院内感染対策」の両方に留意しながら、患者・面会者の体調等を総合的に考慮した上で「患者・面会者の交流の機会」を各医療機関で確保することとしています(厚労省サイトは:こちら(事務連絡)とこちら(別添))。


23年10月20日時点での面会の考え方



この点、医療現場からは、「面会の在り方」について国から考え方を示してほしいとの声も出ています(関連記事はこちら)。

そうした中で今般、日本感染症学会・日本呼吸器学会・日本化学療法学会・日本臨床微生物学会・日本環境感染学会から「5学会による新型コロナウイルス感染症 診療の指針2025」が公表され(2025年10月17日付)、面会の考え方が新たに次のように示されました。

▽面会は患者・入所者やその家族(家族以外の介護者、患者・入所者が大切に思う人を含む)の生活の質を保つうえで重要である

▽患者等が家族等と面会する機会が大きく損なわれることは、患者等および家族等に精神的負担をもたらし、患者等の権利を制約している可能性があり、医療機関等には、それぞれの施設がコロナ感染症流行「前」に設定していた「通常の面会方法(頻度、時間など)へ段階的に戻す」検討が求められる

▽面会者が感染症を示唆する症状(発熱、咳嗽、院疼痛、腹痛、下痢など)を呈しておらず、かつ10日以内にコロナ感染症の罹患歴がない場合には、「マスク着用および手指衛生をお願いしたうえで、一般的には面会は可能」と考えられる

▽なお、患者や入所者が易感染性であるなどの場合には、制限の追加を検討する

▽医療機関等は、患者等および家族等から面会に関する相談があった場合には、現状とともに面会の可否および面会時の注意点、制限の状況などを丁寧に説明する

▽対面での面会が適当でないと判断される場合には、医療機関等は患者等および家族等に対してその理由を十分に説明し、例えばオンライン面会などの具体的な代替案を提示することが望ましい


「5学会による新型コロナウイルス感染症 診療の指針2025」における「面会」の考え方



厚労省では、「この内容を踏まえて、国民が必要な医療を安心して受けることができるようにしてほしい」と自治体や医療現場に要請しています。各医療機関の判断で「段階的に通常の面会」へと戻していくことも重要です。

引用元:
各医療機関でコロナ禍「前」の「通常の面会方法(頻度、時間など)へ段階的に戻す」ことを検討せよ—厚労省・関連学会(GemMed)