長崎県新上五島町で唯一の 分娩ぶんべん 施設だった県上五島病院が、9月で分娩を休止した。産婦人科医の確保が困難になったことなどが要因。今後は非常勤医師を受け入れて産前産後ケアに注力する一方、町も支援策の拡充を図りながら分娩再開を求めていく。(山崎祥太)
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同町のパート従業員の女性(31)は来年1月、第4子を出産予定だ。第2、第3子に続いて町内での出産を望んでいたが、分娩休止を知り佐世保市の病院を予約した。仕事の関係で夫(32)の立ち会いも難しくなったといい、「島で出産できないのは残念」と話す。
県内の分娩施設は、少子化などを背景に減少が続く。厚生労働省が公表した人口動態統計によると、2024年の県内の出生数は7000人(前年比656人減)で、10年前から約4000人減少。県産婦人科医会によると、今年10月以降の県内の分娩施設(病院・診療所)は31施設で、この2年間で6施設減った。
「分娩を休止しても、子育てに良い形をつくっていきたい」と語る一宮院長
同病院では、2人いた産婦人科の常勤医師のうち1人が今年6月に退職し、もう1人も9月で辞めた。代わりの医師を確保することも難しく、一宮邦訓院長は「母子の安全安心を最優先に考えた苦しい決断だった」と語る。運営する県病院企業団によると、24年度に同病院が取り扱った分娩数は25件。コロナ禍などの影響で、18年度の89件から大幅に減少した。
10月以降は長崎大病院(長崎市)から週2回ペースで医師の派遣を受けるほか、妊婦には妊娠35週を目安に島外の分娩施設に転院してもらうことになった。妊婦健診や産前産後ケアは続け、同大病院とは夜間でも連絡を取り合えるようにしているという。
また、緊急時にはヘリでの島外搬送も検討しながら、院内スタッフ向けの研修を行い、県上五島病院内でも可能な限り対応できるようにするという。一宮院長は、「これまで分娩に携わってきた助産師の業務を妊婦のケアに広げるなどし、子育てに良い形をつくれるようにしたい」と話す。
町は島外で出産する妊婦らの宿泊費や交通費などを一部補助する制度を設けていたが、10月から新たに家族の交通費を5往復分支給するなど支援策を拡充した。今後、県病院企業団と、分娩再開に向けた努力を継続することなどを盛り込んだ協定書を締結する予定だ。石田信明町長は「地元で出産できないとなると、若い世代の移住に影響する可能性がある。分娩再開はあきらめずに求めていきたい」と語った。
引用元:
「島で出産できない」長崎県新上五島町で唯一の分娩施設が休止…医師2人が退職、妊娠35週を目安に島外へ(讀賣新聞オンライン)