不妊治療は仕事との両立が難しい――。山梨県が実施したアンケートで、そんな実態が明らかになった。治療しながら働いている人の約1割しか両立できておらず、両立の難しさを感じている人が大多数を占めた。県は、不妊治療に取り組む人たちの支援を強化していく方針だ。
アンケートは20〜50代の県民を対象に7〜8月、ウェブ経由で実施。1963人の回答のうち、女性が1627人(82.9%)だった。自分やパートナーに不妊治療の経験がある人が1132人(57.7%)を占めた。
治療経験がある人のうち約9割が治療しながら働いていた。しかし、仕事との両立となると、「問題なく両立できている」はわずか約1割で、「一部支障がある」「かなり困難である」が合わせて約7割を占めた。「治療のために仕事を調整・休職した」人も約2割にのぼった。
両立困難な理由(複数回答)としては、「通院頻度が高く、勤務時間との調整が困難」が9割弱、「精神的・身体的に負担が大きい」が7割弱と多かった。「林業の仕事を辞めた。肉体労働だと在宅勤務やテレワークができない」「治療のために転職する際、不定期の通院が理由で何カ所も落とされた」といった具体的な回答もあった。
不妊治療への身体的、精神的、経済的な負担についてそれぞれ聞いたところ、「ある」との回答が9割前後かそれ以上となった。なかでも精神的な負担が「ある」とした人が約98%と高かった。
経済的な負担として、不妊治療にかかった費用(保険適用や助成金を除いた実費総額)を聞いたところ、多くが100万円未満だったものの、100万円以上との回答も全体の約25%あった。
また、経済的な理由で治療を中断したり断念したりしたことがあるとの回答が約2割あった一方、助成金を含む公的支援を「利用したことがない」とする回答が約4割だった。
不妊治療を始めた年齢は、25〜29歳が約27%、30〜34歳が約38%、35〜39歳が約26%、40〜44歳が約6%だった。治療期間は、1年未満が約30%、1年以上3年未満が約42%、3年以上も約28%あった。
厚生労働省の人口動態統計によると、2024年の県内の出生数は4153人で前年より5.5%減って過去最低となった。1人の女性が生涯に産む見込みの子どもの数を示す合計特殊出生率は1.26で、前年の1.32から0.06ポイント下がり、こちらも過去最低を更新した。
県は9月補正予算で、保険適用条件の年齢、回数を超えた人や全額自己負担となる人の治療費への助成に1155万円、不妊治療を受けやすい職場環境づくりに取り組む企業への支援に478万円を盛り込んでいる。子育て・次世代サポート課の小林秀一課長は「調査で不妊治療の実態が浮き彫りになった。安心して治療して出産できるような環境をつくっていきたい」と話す。
引用元:
不妊治療「仕事と両立」は1割、負担浮き彫りに 山梨県が調査(朝日新聞)