(CNN) 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は5日、米保健福祉省が近く公表する報告書で、子どもの自閉症と一般的な市販鎮痛薬との関連を指摘する可能性が高いと報じた。一部の人の症状を軽減させる方途として、葉酸の一種にも言及する見通しだという。

WSJによると、報告書では自閉症の潜在的原因として、鎮痛薬「タイレノール」の妊娠中の使用や、胎児の脳や脊髄(せきずい)の正常な発達に重要となる葉酸の不足を強調する。また自閉症の症状を軽減させる方途として、「ロイコボリン」の商品名で知られる葉酸の一種、フォリン酸を挙げるという。

葉酸サプリメントはすでに、二分脊椎(せきつい)など新生児の神経管閉鎖障害を防ぐ目的から、妊娠中の女性に推奨されている。


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タイレノールはジェネリックな鎮痛薬「アセトアミノフェン」のブランド名で、妊娠期間中を含め米国で広く使用されている。米製薬会社ケンビューは5日の声明で、「当社の製品を使用する人の健康と安全以上に重要なことはない。我々は科学的知見を継続的に評価しており、妊娠中のアセトアミノフェンの使用と自閉症の間に因果関係はないと引き続き考えている」と述べた。

専門家もおおむね同様の見解を示す。

米産婦人科学会の臨床実践部門の責任者を務めるクリストファー・ザーン氏は5日の声明で、「妊娠中の適切なアセトアミノフェンの使用と、胎児の発達の問題との直接的な関連を示す明確な証拠はない」と説明。「特に神経発達障害はさまざまな因子が絡んでおり、単一の原因と結び付けるのは非常に難しい。妊娠中の患者は多くの利点を持つアセトアミノフェンの服用を恐れるべきではない。アセトアミノフェンは安全であり、妊婦の痛みを和らげる数少ない選択肢の一つだ」と述べた。

米国では自閉症の有病率が上昇傾向にある。4月に公表された米疾病対策センター(CDC)の報告書によると、2022年には8歳までの子どものおよそ31人に1人が自閉症と診断され、20年の36人に1人から増加した。

ジョンズ・ホプキンス大学ウェンディ・クラッグ自閉症センターの副責任者を務めるクリスティーン・ラッドアコスタ氏によれば、増加には主に二つの理由がある。

第一の理由は、精神医学界によって2013年に自閉症の定義が広げられ、自閉症の診断を受ける人が増えたことだ。

第二に、特に乳児を中心に、自閉症の兆候を検知する取り組みが強化されていることが挙げられる。ラッドアコスタ氏はジョンズ・ホプキンス大学のポッドキャストで、症状への認識の高まりに伴って自閉症の受容も進み、人々は支援を求めたり、自閉症と認定されたりすることを以前ほど恐れなくなっているとの見方を示した。

米保健福祉省の報道官は5日、「われわれは米国における前例のない自閉症増加の原因を突き止めるため、最先端の科学を用いている。最終報告書を公表するまで、その内容に関する主張はすべて臆測にすぎない」と述べた。

妊娠中のアセトアミノフェン使用と子どもの自閉症発症との関連を調べた研究はいくつかあるが、この説の科学的根拠は確立されていないと専門家らは指摘している。

24年に医学誌JAMAに掲載された研究では、1995年から2019年にスウェーデンで生まれた子ども200万人あまりを調査した。うち約18万5000人は妊娠中にアセトアミノフェンを使用した母親から生まれていた。こうした子どもをきょうだいや、アセトアミノフェンにさらされていない子どもと比較した結果、妊娠中のアセトアミノフェン使用は自閉症やADHD(注意欠陥・多動性障害)その他の神経発達障害のリスク増加とは関連しないことが明らかになった。

引用元:
米保健福祉省、自閉症と市販鎮痛薬の関連指摘か 妊娠中の葉酸不足も WSJ紙(CNN.co,jp)