男性不妊と診断されるケースの背景には、単なる生殖機能の問題だけでなく、精巣腫瘍(精巣がん)など命に関わる重大な疾患が潜んでいることがある。実際に、不妊をきっかけに泌尿器科を受診し、思いがけずがんが発見されるケースは珍しくない。精巣腫瘍は20〜40代の若い世代に多いが、初期には痛みなどの自覚症状が乏しい。そのため「妊活で子どもができない」と思って受診した際の検査で見つかることがある。今回は隠れた病気が発覚した事例を取り上げる。

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 ある30代男性は、2年間の妊活を経て病院を訪れ、男性不妊の状態を調べるために精巣エコーを受けたところ、腫瘍が発見された。幸いにも早期発見だったため手術で完治し、抗がん剤や放射線治療は不要。命を救われただけでなく、その後は安心して不妊治療に臨み、念願の子どもを授かった。

 精子は単なる生殖細胞ではなく、全身の健康を映すバロメーターである。精子の数や運動率が低下しているとき、その背景にはホルモン異常、糖尿病、甲状腺疾患、さらには遺伝性疾患などが隠れている可能性がある。代表的なのがクラインフェルター症候群だ。これは生まれつき余分なX染色体を持つ遺伝性疾患で、無精子症を引き起こすことが多い。加えて男性ホルモンが不足しやすく、疲労感、骨粗鬆症、体毛の減少など全身にさまざまな症状をもたらす。さらに、糖尿病による血管障害やホルモン異常、甲状腺機能の低下や亢進なども精子形成に影響することが知られている。

■不妊の原因には全身疾患が隠れている可能性がある

 つまり“不妊”という症状の背後には、全身の疾患が潜んでいる可能性があるのだ。実は、不妊は「子どもができない」という悩みにとどまらず、体が発する警告サインの場合がある。

 泌尿器科や生殖医療の専門医は、精液検査だけでなく、ホルモン値やエコー、MRIなどの画像検査を通じて、全身の健康状態を把握するが、ある医師は「不妊治療は妊娠のためだけでなく、命を守る医療でもある」と語る。妊活をきっかけに病気が早期発見されるのは偶然のように見えて、実は専門的な検査が命を守っている必然の結果でもある。

 不妊外来は、子どもを授かるための入り口であると同時に、未来の健康を支える入り口でもあるのだ。(おわり)

引用元:
男性不妊の背景には、実は“がん”や糖尿病、甲状腺疾患、遺伝性疾患が隠れていることも(dmenuニュース)