食とメンタルヘルスの関係性とは

夏に起きる『ふらつき・だるさ・頭痛』は熱中症ではなく鉄不足の可能性も。

暑い太陽の日差しを受け、汗をかきやすい季節の到来! 汗で失われるミネラルには鉄を多く含むため、知らないうちに体は鉄不足に…。
実は、「鉄欠乏性貧血」にまで至らなくても、「鉄欠乏症」になっている方が増えている実態があるようです。
鉄欠乏の女性を『テケジョ』と命名し、かねてから警鐘を鳴らしている栄養精神医学の第一人者、精神科医師の奥平智之先生に、夏の時期に気をつけるべき症状と正しい食事の在り方について伺いました。

ーー精神科医師という立場から「食」の重要性を訴えているのはなぜでしょうか?

奥平智之先生(以下、奥平先生):心の不調というと、多くの方が「気持ちの問題」「ストレスが原因」と思いがちですが、実際には“脳の栄養不足”が背景にあることが少なくありません。
脳は、鉄やビタミン、タンパク質、脂質などの栄養素からできています。つまり、食べたもので心がつくられているのです。私が「メンタルヘルスは食事から」という視点をもとに、栄養精神医学の啓発を行ってきた理由です。

ーー食生活が乱れることで、心やメンタル面にはどのような影響がありますか。

奥平先生:糖質ばかりの偏食、過度なダイエット、欠食などにより、脳に必要な栄養が不足します。すると、イライラ・不安・落ち込み・朝起きられない、などのメンタル不調が現れます。
特に「鉄欠乏女子(テケジョ)」に見られるように、フェリチン※が低い女性にこうした症状が多くみられるのです。フェリチン25ng/mL未満の方は、明らかに「赤信号」です。

※フェリチンとは、鉄結合性タンパク質の1種。体内に鉄を毒性のないかたちで貯蔵し、必要なときに放出する「鉄の貯金箱」的な存在。フェリチンが低いとは、鉄のストックがない(少ない)状態です。

ーー鉄欠乏性貧血とは、具体的にどのような症状を指すのでしょうか。

奥平先生:ヘモグロビンが低下し、酸素運搬能力が落ちることで、めまい・倦怠感・集中力の低下・動悸などの症状が出ます。加えて、心の不調も伴うことが多いです。

ーー鉄分不足が心の不調を伴うのは、なぜですか?

奥平先生:鉄は、幸せホルモン(セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン)の材料としても不可欠です。鉄分が不足すると出る症状としては、だるさ・息切れ・立ちくらみ・過換気・パニック・不安・不眠・うつ状態・頭痛・イライラ・涙もろさなどが挙げられます。
加えて、ビタミンB群やマグネシウムも、鉄における幸せホルモンの代謝を支える重要な因子です。これらの不足があると、鉄不足と同様に、「涙もろい」「やる気が出ない」「不安が強い」などの症状が現れます。
まさに、いま栄養精神医学が問題視している状態を招くことになります。

ーー例えば、子どもの情緒不安定や集中力低下も「鉄不足」が関係していることがありますか?

奥平先生:そうですね。特に1〜3歳、思春期は脳の成長が著しく、鉄の需要が高まります。情緒不安定・学習の遅れ・多動・不登校の背景にも、鉄欠乏が隠れていることがあります。
私の著書「食べてうつぬけ」の症例でも紹介していますが、ADHDの子どもは、鉄欠乏子ども(テケコ)であることが多いです。鉄やタンパク質でADHDが治るわけではありませんが、併存している鉄欠乏の治療を適切に行うことで、注意の散漫さや落ち着きのなさ、そして生活の質が一部改善されることもあるのです。

引用元:
鉄欠乏のテケジョ≠ニテケコ≠ェ危ない。その落ち込み・不安・涙もろさは食事で改善できる? 夏こそ心がけたいメンタルを整える食事術〈精神科医インタビュー〉(Yahoo!ニュース)