薬の添付文書には、妊婦に投与しないよう「禁忌」と明記されたものが少なくありません。近年の研究で赤ちゃんへの悪影響が示されないことがわかってきた薬があり、禁忌解除の検討が進められています。今年5月には相談が多かった吐き気止め薬の禁忌が外れ、妊娠に気づかずに服用しても安心して妊娠を継続できるようになりました。(大沢奈穂)
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薬の使用上の注意を記載した添付文書には、投与すべきでない対象者が禁忌の項目に列挙されています。妊婦が禁忌となるのは、安全性を調べる治験に参加する妊婦を集めるのが難しく、動物実験を根拠とするケースが多いためです。
一般的に、赤ちゃんの生まれつきの形態異常は自然に約3%発生するとされています。薬の影響が疑われる異常は、そのうちのごくわずかです。
つわりと気づかず服用し不安に…相談相次ぐ
読売新聞社
国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」(東京)は妊娠中の服薬相談に応じており、2005年10月の開設時から22年3月までに約1万件の相談が妊婦からありました。妊婦禁忌の医薬品の中では、吐き気止め薬の「ドンペリドン」が延べ483件で最多でした。つわりだと気づかずに服用して不安になるケースが多かったです。
情報センターが相談例などからドンペリドンを実際に服用した妊婦の事例を調べました。赤ちゃんの生まれつきの形態異常の発生率は2・9%で、服用しなかった場合との明らかな差がみられませんでした。
厚生労働省が16年度に始めた「薬の適正使用推進事業」の一環で、情報センターを中心とした調査も行われました。カナダやドイツなどの添付文書では妊婦禁忌とされていないことなどを確認しました。
厚労省の審議会は今年4月、禁忌解除を了承し、製薬会社は5月20日に添付文書の禁忌項目から妊婦を削除しました。ただし、つわりの治療に積極的に用いる薬でないことには注意が必要とされています。
安心な妊娠継続へ まずは医師に相談を
読売新聞社
関東地方に住む女性(25)は妊娠に気づかず、内科で処方されたドンペリドンを服用しました。判明後に4か所の産科に相談し、うち2か所で「中絶したほうがいい」と言われたものの諦めきれず、情報センターに相談しました。女性は「当時は妊娠の喜びよりも、不安でつらかった。丁寧な説明を受けて安心し、無事出産できた」と振り返ります。
厚労省事業では、免疫抑制剤や血管を広げるカルシウム拮抗(きっこう)薬など計7剤についても禁忌解除につなげてきました。情報センター長の山口晃史さんは「薬の適正使用に向けて、他の薬も検証していきたい」と話しています。
持病や妊娠中の病気で薬が必要になる場合があります。適切な服薬による妊婦の体調の安定や、それによる赤ちゃんへの「ベネフィット(有益性)」と、赤ちゃんへの「リスク」を比較し、ベネフィットが上回る場合に薬が処方されます。
妊娠中は服薬や中断を自己判断するのは避け、医師に相談することが重要です。情報センターの医師、肥沼幸さんは「服薬を控えることで、母体の健康状態が悪化し、赤ちゃんに悪影響を及ぼす恐れもあります。過度に心配しないことも大切です」と指摘します。
引用元:
妊娠中も「吐き気止め」OKに…薬の「禁忌」解除進む 服用しない場合との差みられず(Yahoo!ニュース)