不妊治療などの「妊活」の話題はセンシティブで、仕事との両立に悩んでも打ち明けにくかったり、周囲が具体的な苦悩を想像できず配慮に欠けてしまったりするケースもありそうだ。こうした課題を解消するため、妊活の知識を職場で学び、理解を促そうという取り組みが始まっている。社員の将来の選択肢を広げ、キャリアプランを考えるきっかけにもつながる。

■男性も管理職も

4月下旬、IT事業を手掛けるパナソニックコネクト(東京)で妊活に関する研修が行われた。集まったのは20〜60代の約40人。男女比は半々、3分の1が管理職という顔ぶれだった。

DEI(多様性・公平性・包括性)推進に力を入れる同社では、以前から女性特有の健康課題の解消に力を入れてきたという。

不妊治療のための休業制度や卵子凍結費用の助成などの取り組みを行っているが、同社代表取締役でDEI推進担当役員の西川岳志さんは「制度とカルチャー、つまり社員同士の心のあり方や企業風土が健全でないとDEIは進まない」と力説する。

研修の冒頭、あいさつに立った西川さんは自身もかつて不妊治療を経験したことがあると打ち明けた。

「通院のため、休暇を申請しても上司の理解を得られなかったことが一番つらかった」と振り返り、「妊活を当事者だけの問題にせず、社員と管理職が共に学び、職場全体で支えることにつなげてほしい」と呼びかけた。

■早めに知りたい

研修は妊活関連商品も扱うユニ・チャームとの連携で行われた。同社は「子供を持つ、持たないにかかわらず、誰もが妊活の正しい知識を得ることが、一人一人の将来の選択肢を広げる」という考えのもと、企業を対象に妊活研修プログラムの提供を今春から始めている。

今年1月、全国の18〜49歳の男女2400人(うち妊活経験者1039人)を対象に同社が実施した調査によると、経験者が実際に妊活を始めたタイミングは平均30・1歳。一方、知識を得たかった時期を聞くと平均24・9歳となった。5年ほど開きがあり、子供を望む人々が早めに知識や情報を得る機会を求めている実態が明らかになった。

この日の研修では妊活当事者でなければ知る機会があまりない不妊治療の中身について、男女双方の検査項目を具体的に紹介し、男女が足並みをそろえて治療に臨む重要性を強調した。
座学だけでなく、参加者が、キャリア設計や家族プランなど自身の「未来像」を書き出す時間も設けられた。また不妊治療とその支援のあり方など、職場に求める制度や風土について、互いに意見を交わす場面もあった。

研修後、「職場で支える側の人たちが温かく当事者を見守ってくれる環境はありがたい。社員全員に研修を受けてほしい」と語ったのは、出産適齢期となり妊活について学びたかったと話した30代の女性社員。管理職の男性は「マネジャーの振る舞いで職場の理解が大きく変わる。24時間働けますか≠ニいう時代を過ごした管理職層が学ぶきっかけが必要」と話した。(篠原那美)

引用元:
企業が妊活研修、未来の選択肢広げるきっかけにも「職場全体での支えにつなげて」 みんなで考える 思いやりのカタチ(Yahoo!ニュース)