淡路島唯一の分娩できる助産院「さくら助産院」(兵庫県淡路市志筑新島)で、2022年の開業以来100人目の赤ちゃんが生まれた。助産師で同院代表の藤岡勢子さん(37)は3年を振り返り「実家のような身近な場所になりつつある」と手応えを感じている。(荻野俊太郎)

 淡路島では同助産院ができるまで、出産が可能な所は県立淡路医療センター(同県洲本市塩屋1)しかなく、島外で出産する人が少なくなかった。

 藤岡さんは淡路市興隆寺の出身。看護師を目指して広島の大学に進み、卒業後は神戸の専門学校で助産師の資格を取得。聖隷淡路病院(淡路市夢舞台)や神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で勤めた。

 島内の状況を踏まえ「子どもを産む場所の選択肢をつくりたい」と考え、22年4月1日にさくら助産院を開院。医療行為はできないが、妊娠中や産後のケア、育児相談などに力を入れ、現在は月平均4人、多い月では8人の赤ちゃんを取り上げている。


 100人目となったのは5月25日に生まれた兵庫県南あわじ市の田和雅さん(42)、杏菜さん(33)の次男奏斗(かなと)ちゃん。杏菜さんは、長男陽詩(ひなた)ちゃん(3)を産む際も「アットホームな雰囲気の所がいい」と同県明石市の助産院で出産した。ただ、片道1時間かけて通うのは大変だったといい「今回は家から近い所で出産でき、長男の時より不安も少なかった。妊娠中の整体やイベントにも通いやすかった」と喜ぶ。

 出産には和雅さんと陽詩ちゃんも立ち会った。和雅さんは「抱き上げたとき、生命の喜びみたいなものを感じた。長男も生まれる瞬間を見て、良い教育になったのではないか」と話す。

 同28日には、同助産院が淡路市から産後ケア事業の委託を受けていることもあり、娘3人を育てている戸田敦大市長も祝いに駆けつけた。

 藤岡さんは「2人目、3人目もここで産みたいという人が増えている」とし「お母さんや子どもが集まる場所として根付いてきた」と胸を張る。




 一方で、現在も分娩ができるのは同センターと同助産院の2カ所にとどまっており今後、後進の育成にも力を入れていくという。


 「お産が大変でトラウマになった母親も多い。そうした人々に手を差し伸べ、また子どもを産みたいと思う人が増えてほしい」と力を込めた。

引用元:
開院3年、100人目の赤ちゃん誕生 淡路島唯一、分娩できる「さくら助産院」 産前産後ケアも手厚く(神戸新聞NEXT)