地域にお産を取り扱う医療機関がない「空白地域」が県内で広がる恐れが出ている。長野県内10広域圏別で、既に医療機関がない北アルプス(大町北安曇地域)に加え、木曽地域で唯一の施設だった県立木曽病院(木曽郡木曽町)が2026年度から、分娩(ぶんべん)の取り扱いが困難になるとの見通しを示しているためだ。地域の衰退につながりかねないとする懸念の一方、県内の出生数は減少傾向に歯止めがかかっていない。長野県は本年度、周産期医療体制の見直しに着手。地域の将来像をどう描くか、県のかじ取りが問われる。

【表】長野県内の出生数の推移

安全な分娩体制の継続困難
 「多方面に呼びかけているが、常勤の麻酔科医の確保ができない状況が続いている」。木曽病院などが4月15日、木曽郡大桑村役場で開いた住民説明会。浜野英明院長は村民ら約20人を前に、病院を取り巻く厳しい現状について説明した。

常勤の麻酔科医が不在に
 同病院は2月に今後の方針を示し、3月以降、郡内各地で説明会を開催。病院によると、分娩に対応する医師は現在、常勤の産婦人科医と小児科医が各2人、麻酔科医が1人。このうち、今年70歳になる麻酔科医は26年度も同病院で働く意向だが、非常勤になるという。浜野院長は、常勤の麻酔科医がいなくなれば「緊急の帝王切開への対応など安全な分娩体制の継続が難しい」と理解を求める。

分娩数減で「医療資源投入が難しく」
 同病院の23年度の分娩数は76人だったが、24年度は45人に減少。今後も減少が見込まれるとし、「医療資源を投入することは困難」(浜野院長)と説明する。

「分娩できない地域から人が減る」住民懸念
 地域には動揺が広がる。大桑村での説明会で、村議の纐纈悠乃(こうけつひろの)さん(41)は「本来は住民などとのやりとりの中で決めていかないといけない。既に決定したことを説明するだけの場になってしまったのは残念」と不満をぶつけた。村内の30代女性は「よっぽどの魅力がない限り、分娩ができなくなる地域からは人は減っていく」と懸念した。

分娩扱う施設、長野県では20年間で半分以下に
 厚生労働省の人口動態統計によると、長野県内の出生数は07年以降、過去最少を更新し続け、23年は前年より1018人少ない1万1125人だった。県疾病・感染症対策課によると、分娩を取り扱う県内の病院や診療所は05年時点で55施設あったものの、現在は34施設に減少。出生数の減少や産科医確保の難しさから、この20年間で21施設が分娩を休止・廃止している。

引用元:
地元で子どもを産めない…出産できる医療機関がない「空白地帯」が地方で広がる恐れ 「人が減る…」住民動揺も、背景には病院を取り巻く厳しい現実が(Yahoo!ニュース)