鼻腔内への亜鉛(Zn)投与がスギ花粉症の症状を軽減する可能性が示された。名古屋大学大学院環境労働衛生学/中国・Hangzhou Medical CollegeのHuadong Xu氏らが、スギ花粉症患者の鼻汁中および血清中Zn濃度の前向き追跡調査と花粉症モデルマウスを用いた動物実験の結果をJ Allergy Clin Immunol Glob( 2025;4:100408 )に発表した。

花粉症患者のZn濃度、鼻汁中で上昇、血清中で低下
亜鉛の鼻腔内投与で花粉症改善の可能性 ヒト、動物実験で検討
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 Xu氏らはまず、スギ花粉症を有する患者群44例と有さない対照群57例の計101例(平均年齢40.76歳、女性56例)を対象に、スギ花粉症シーズン中(3〜4月)およびシーズン前(1〜2月)における鼻粘膜上皮被覆液(epithelial lining fluid;ELF)中および血清中のZn濃度を前向きに追跡した。

 その結果、シーズン中の患者群の鼻粘膜ELF中Zn濃度は、シーズン前の患者群と比べて2.3倍超、シーズン中の対照群と比べて2.8倍超、いずれも有意に高かった(P<0.05、Mann−Whitney U test)。一方、シーズン中の患者群の血清中Zn濃度は、シーズン前の患者群と比べて約11%、シーズン中の対照群と比べて約15%、いずれも有意に低かった(P<0.001、Mann−Whitney U test)。

 同氏らは「慢性鼻副鼻腔炎の患者を対象にした研究で、鼻粘膜におけるZnトランスポーターZnT1の発現増加( Allergy 2018;73:2095−2097 )、鼻粘膜中のZn濃度低下と鼻汁中のZn濃度上昇( Rhinology 2020;58:451−459 )が報告されている」と指摘。その上で、「今回の結果は、花粉症患者では炎症によるZnトランスポーターの発現増加が鼻粘膜から鼻汁へのZn漏出を引き起こし、その結果として血清中Zn濃度が低下することを示唆している」と考察している。

花粉症マウス、Zn鼻腔内投与直後から症状が改善
 次に、スギ花粉症モデルマウスを用いた動物実験を行い、アレルギー性鼻炎の症状に対するZn鼻腔内投与の効果を検討した。

 アレルギー誘発物質(抗原)のみを鼻腔内投与したマウスと比べ、抗原と推定ヒト等価用量のZnを鼻腔内投与したマウスでは「くしゃみ」の頻度が約42%(P<0.001、ANOVA)、「鼻をこする」頻度が約24%(P<0.05、ANOVA)、いずれも有意に低下した。これらの症状改善効果は、Zn鼻腔内投与の直後から10分後まで認められた。

 また、抗原とZnを投与したマウスでは抗原のみを投与したマウスと比べ、最終投与後24時間の時点でムチンを分泌する杯細胞の鼻粘膜における相対細胞数が約24%有意に少なく、鼻粘膜におけるZn相対濃度が約30%有意に高かった(いずれもP<0.05、ANOVA)。

 以上の結果から、Xu氏らは「スギ花粉症に代表されるアレルギー性鼻炎に対して、Zn鼻腔内投与(点鼻薬)が有効な治療法となる可能性が示された」と結論している。(医学翻訳者/執筆者・太田敦子)

引用元:
亜鉛の鼻腔内投与で花粉症改善の可能性 ヒト、動物実験で検討(yomiDr. ヨミドクター)