静岡県伊豆半島南部の賀茂地域(下田市、東伊豆町、河津町、南伊豆町、松崎町、西伊豆町)で唯一、出産を受け入れてきた臼井医院(下田市)が1月末で分娩(ぶんべん)対応を終了した。地域で出産が減り、病院経営が難しくなったためで、賀茂地域で出産できる病院はなくなった。地域に波紋が広がっている。(今坂直暉)
助産師の指導を受ける木田さん。臼井医院で最後の出産となった=下田市で
「哺乳瓶はもう少し上に傾けるといいですよ」。同院で最後の出産をし、産まれたばかりの赤ちゃんを抱っこした木田歩美さん(23)が1月31日、助産師から指導を受けていた。同28日に自然分娩で女児を出産。母子ともに健康で、赤ちゃんの写真をたくさん撮り、幸せをかみしめていた。
夫とともに下田市出身の木田さんは「地元で産めて幸せだった。初めての出産だったが、近くに医師がいて安心だった」と話す。だが、臼井医院が分娩対応を終了したことで、次に子どもができた場合には地元では出産できないことになり、「将来が心配だ」と吐露する。
県人口動態統計によると、賀茂地域の2022年の出生数は159人。12年の351人から10年で半数以下に減った。同院で対応した出産数は、ピークの03年10月〜04年9月の347件から、23年10月〜24年9月の88件に減少。急な出産などに対応するためには夜間でもスタッフを常駐させる必要があり、臼井文男院長(67)は「お産が減る中で病院経営が苦しくなった」と分娩対応を終了した理由を明かす。小児科や産婦人科の外来や健診は、スタッフを減らして続けるという。
引用元:
賀茂地域、分娩病院ゼロ 出産減で経営困難 自治体はサポート体制の構築急ぐ(東京新聞)