妊娠出産「やせ」のリスクは
リスクのある妊娠の増加には若い女性の「やせ」の問題が指摘されています。

厚生労働省が2023年に行った「国民健康・栄養調査」では、BMI18.5未満の「やせ」の状態にある女性は、20代から30代で20.2%で高い水準となっています。

若い女性のやせは貧血や骨密度や筋力の低下などを引き起こすほか、月経不順や不妊、低出生体重児の原因になるなど、将来の妊娠や出産に影響するとされています。

また、35歳以上で第1子を出産する「高齢出産」の割合も増加しています。第1子を出産した女性のうち35歳以上で出産している人の割合は、2000年には全体の6.4%でしたが、2005年には1割を超え、2023年は21.6%を占めています。

高齢での妊娠・出産は、妊娠高血圧症候群をはじめ妊娠糖尿病などの合併症や、流産のリスクが高まると指摘されています。

プレコンとは?啓発も
東京・世田谷区の国立成育医療研究センターでは妊娠前の若い世代に食事や生活習慣について考えてもらおうと、10年前ほどからプレコンセプションケア専門の外来を設置して、啓発に取り組んでいます。

外来を担当する三戸麻子医師によると、将来、妊娠や出産を考えている女性やカップルなどが訪れているということです。

「プレコンセプションケア」とは
妊娠の可能性のある世代が、早い段階から自分の健康状態や生活習慣を知った上で、人生や将来の計画を考えてもらおうとするもの。

WHO=世界保健機関も、「妊娠前の女性とカップルに医学的・行動学的・社会的な保健介入を行うこと」と提唱

この病院の外来では、専用の問診票を使って▼一般の健康診断の項目のほか、▼食事の内容や時間帯、▼出生時の週数や体重などを確認します。

その上で、管理栄養士が食生活をアドバイスするほか、持病のある女性には専門医と連携して、妊娠や出産に向けた症状の改善の方法や、常用する薬の内容などの指導をしています。

また、妊娠や出産には男性の健康状態も重要だとして、カップルでの診察も行っているということです。

国立成育医療研究センター・プレコンセプションケアセンター 三戸麻子医師
「いまは妊娠や出産を考えない人でも、将来、赤ちゃんがほしくなることもあると思うので、自分の体や生活習慣を知って健康でいることは自分の可能性を最大限に引き出す土台になる。妊娠出産というと女性というイメージが強いとは思うが、男性の健康が関係することが分かってきているので、男性のプレコンセプションケアもとても大事だ」

プレコン啓発加速へ 検討会も
妊娠や出産をめぐり、若い世代が早い段階から自分自身の健康に向き合うことが必要だとして、こども家庭庁は妊娠前からの健康管理を意味する「プレコンセプションケア」の普及啓発を進めるため、専門家による初めての検討会を開きました。

高リスクの妊娠・出産が増加の理由(こども家庭庁によると)
・「やせ」や低栄養(若い女性の過度なダイエットによる)
・高齢出産の増加

こども家庭庁によりますと、こうした妊娠や出産をめぐるリスクを軽減するため、男女を問わず若い世代がもっと早い段階から正しい知識や適切な健康管理を実践する「プレコンセプションケア」の普及が大切だとしています。

国は産婦人科の医師らと連携し、若者向けに性感染症や妊娠に関する正しい知識や相談窓口を紹介するサイトを開設しているほか、すべての都道府県では相談支援体制が整備されています。

こども家庭庁は▼こうした相談窓口の情報や健康管理に関する相談支援のあり方▼自治体や教育機関などで普及啓発を進めるアドバイザーの養成などについて検討するため、医師や自治体の担当者などをメンバーとする初めての検討会を11月28日に開きました。

この日の会議では、若い世代として参加した20代の大学院生の女性が、「妊娠、出産について具体的な準備や対策の方法が知りたいが、男性と女性で意識に差があると感じるので、男女問わず関心を高めたり、身近に感じたりする施策が必要だ」などと意見を出していました。

こども家庭庁は2025年春には今後5年間に行う施策の方針をとりまとめることにしています。

千葉・柏市は費用助成の方針
首都圏の自治体でも「プレコンセプションケア」の取り組みを進めようとしています。

千葉県柏市は、市民が検査や卵子の凍結などを行う際の費用の助成を新年度(R7年度)から始める方針です。

柏市では若い世代の男女のプレコンセプションケアを推進しようと、新年度の予算案に関連の費用を盛り込みました。

予算案には(18歳〜39歳男女が対象)
・妊娠に備えた健康管理の必要性などを啓発する講座を開く
・妊娠に関わる体の状態を調べる検査などを受ける費用(女性は3万円まで、男性は2万円まで)

また、将来の妊娠に備えた助成も予算案に盛り込まれました。

女性(18歳〜39歳まで)が卵子の凍結保存を希望する場合
・採卵や保存にかかる費用を1人1回20万円まで
・保存継続の費用を毎年2万円ずつ(5年間まで)

柏市 太田和美市長
「卵子が加齢の影響を受けやすいことなどを知ったうえで、自分のライフプランに合わせて妊娠や出産に向き合うきっかけにしてほしい」

引用元:
妊娠・出産リスクを減らすには?準備どうする?「プレコン」を知って(男性も関係しています)(NHK首都圏ナビ)