東北大学病院の研究チームは5日、妊娠中の受動喫煙によって、胎盤が通常よりも早くはがれ落ちる「常位胎盤早期剝離」のリスクが高まるとした研究結果を発表した。週4日以上で1日あたり1時間以上の受動喫煙は、発症リスクを2倍に高めていた。研究者らは「受動喫煙を防ぐ社会的な取り組みが重要だ」と指摘した。

胎盤はへその緒を通じて胎児に酸素や栄養素を供給する臓器だ。通常は出産後、役目を終えた胎盤が自然にはがれて体外に排出される。ただ、全妊娠の0.4~1%の頻度で胎盤が出産よりも前にはがれる「常位胎盤早期剝離」が起きるとされる。胎児への栄養素供給が途絶え、胎児と母親の命を脅かす。

胎盤の早期剝離は予測が難しく「誰にでも起こりえる病気」(東北大病院の浜田裕貴講師)という。母親の年齢や高血圧のほか、喫煙がリスク因子として知られる。喫煙で発症リスクが高まる報告があったが、周囲の喫煙者から間接的にたばこの煙を吸う受動喫煙の影響は解析されていなかった。

研究チームは国内約8万人の妊婦を対象としたアンケート調査と診療情報を解析し、受動喫煙と常位胎盤早期剝離の関連を探った。

その結果、週4〜7日で1日1時間以上の受動喫煙にさらされている妊婦は、受動喫煙がない妊婦と比較して、発症リスクが約2倍に高まっていた。妊婦自身の喫煙でも1日11本以上の場合、非喫煙者に比べて発症リスクが約2倍だった。

常位胎盤早期剝離の全患者のうち、受動喫煙で発症した人の割合は約3%だった。妊婦自身の喫煙と同程度の割合で「同じくらいの影響がみられた」(浜田氏)。

常位胎盤早期剝離は現状、どのような仕組みで発症するのか分かっていないことが多い。発症につながるリスク因子が多く、一度はがれた胎盤を元に戻す治療法はない。研究チームは病気の予防につなげるため、より多くの人を解析するほか、血液などを調べて病気の仕組みの解明を目指す。

研究成果をまとめた論文は国際科学誌「BMJオープン」に掲載された。


引用元:
妊婦の受動喫煙、胎盤の早期剝離リスク増 東北大学病院(日本経済新聞)