大阪大学は精子の形成に必要な物質を発見した。この物質がないと精子が折れ曲がってしまい、うまく受精できないとわかった。研究成果は、男性不妊の診断や原因解明などに役立つと期待している。
研究チームは、精巣内で作られるTEX38とZDHHC19というたんぱく質に着目した。これらのたんぱく質を作れなくしたマウスを作製したところ、異常に曲がった精子ができて不妊になるのを確認した。この2種類のたんぱく質が複合体を作り、安定して存在していた。
正常なマウスの精子は先端が鎌状だが、特定のたんぱく質がないと180度折れ曲がる=大阪大学提供
さらに詳しく解析すると、精巣内にある精子細胞はZDHHC19を失うと、精子が完成するのに必要な「細胞質の除去」がうまくできていなかった。そのため、折れ曲がった精子ができていた。
研究成果は、男性不妊の診断や原因の解明に役立つと期待している。日本を含む先進国では、6組に1組のカップルが不妊に悩んでいて、半数が男性に起因するとされる。男性不妊の約8割は、精子数の減少や形態異常などの精子形成不全だ。
今回着目した2種類のたんぱく質TEX38とZDHHC19は、ヒトの精子にも存在する。TEX38を欠損させたマウスでは、折れ曲がった精子でも、直接針を使って卵子に精子を導入する「顕微授精」という方法を使えば、健康な精子に比べ確率は下がるが子供を得られるのを確認している。大阪大の宮田治彦准教授は「(原因がわかると)顕微授精を使う判断材料になる」と話す。
研究成果は米国科学誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された。
引用元:
精子形成に必要な物質発見 大阪大学、男性不妊の解明に(日本経済新聞)