少子高齢化が叫ばれて久しい日本を含め、出生率は世界的に減少傾向にありますが、生まれてくる赤ちゃんの数に占める双子や三つ子の割合は過去に類を見ないほど増えているといわれています。今後も続くとみられているこの現象について、専門家が分析しました。
Why more twins are being born than ever before – even though birthrates are falling
https://theconversation.com/why-more-twins-are-being-born-than-ever-before-even-though-birthrates-are-falling-246297
イギリス・バーミンガムシティ大学エリザベス・ブライアン多胎出産センターの所長であるエリザベス・ベイリー氏によると、1940〜1960年代のイギリスで起きたベビーブームでは、妊娠1000件当たり12〜13件が双子や三つ子などの「多胎出産」だったとのこと。
その後、1970〜1980年代に入ると、避妊手術を含めた家族計画が浸透したことや、経済状況が厳しくなったことなどにより大家族の数は減少し、典型的な家庭の子どもの数は2.4人ほどになりました。これに伴い、多胎出産の割合も妊娠1000件当たり約10件と減少しています。
ところが、その後1990〜2000年代に入ると多胎出産率は増加に転じ、ピーク時の2009年には1000件当たり16.4件を記録しました。
この傾向には多くの理由が考えられますが、主な要因は「高齢妊娠」や「不妊治療の利用増加」といった社会的要因だと、ベイリー氏は考えています。
そもそも、双子は受精卵が2つに分裂するか、または2つの別々の卵子が同時に受精することで発生します。従って、同じ周期で複数の卵子が排卵される「過剰排卵」が起きると多胎出産が起きやすくなりますが、この現象は閉経期が近づいて月経周期のホルモンパターンが変化すること、つまり女性が年齢を重ねるにつれてよく発生するようになるとのこと。
まれではありますが、過剰排卵により三つ子やそれ以上、時には9人の赤ちゃんができる、いわゆる「高次多胎妊娠」が起きることもあります。
以下は、イングランドおよびウェールズにおける妊娠1000件当たりの多胎出産の割合を、女性全体(濃い青色の線)と45歳以上の女性(水色の線)とで分けたグラフです。45歳以上の女性が多胎児を授かりやすいことが一目でわかります。
この傾向はイギリスに限った話ではなく、例えば日本の(PDFファイル)厚生労働省は「わが国の出生数に占める多胎児の割合は、母親の年齢が30歳以上になると2%を超え、40〜44歳では2.71%、45歳以上では5.95%にのぼります」と述べています。
不妊治療も要因のひとつで、特に初期の不妊治療では妊娠成功の可能性を高めるために、一度に複数の胚を移植することが一般的に行われました。これにより多胎出産の可能性も高まり、1990年代には不妊治療による多胎妊娠の割合が28%にまで上昇したとのこと。これに対し、自然に多胎妊娠が発生する割合は1〜2%しかありません。
不妊治療による多胎出産の急増と、その結果として増加した赤ちゃんの早産に対する懸念から、イギリスでは一度に移植する胚を1つだけにすることを推進する「One at a Time」キャンペーンが始まりました。これにより、不妊治療による多胎出産率は2022年には4%へと落ち着いています。
一度にたくさんの子どもが生まれることは、多くの家庭にとってめでたいことですが、困難も伴います。イギリスでは、双子の死産率は単胎妊娠の場合のほぼ2倍で、新生児の死亡率は3倍とのこと。また、多胎児は早産になることも多く、そのような子どもは一般的により多くのケアを必要とするため、多胎児が生まれた家庭にかかる負担は大きくなります。
ベイリー氏は「将来の出産と幼児期のケアの在り方を計画する際には、多胎出産に関するニーズも議論の対象となるべきです。多胎出産の割合がどの程度増えていくのかを予測するのは困難ですが、今後も時間の経過とともに生まれる赤ちゃんの数は減る一方で、多胎出産の割合は増加していくことでしょう」と提言しました。
引用元:
出生率は低下しているのに「双子」の出産はかつてないほど増えているのはなぜ?(GigaZine)