妊娠・出産などで入院する際に、妊婦や赤ちゃんのいちばん近くにいてくれる看護師さんたち。新生児集中治療室(NICU)で医療を受ける赤ちゃんたちにとっても看護師さんは大きな存在です。テレビドラマ『コウノドリ』でも監修を務めた神奈川県立こども医療センター周産期医療センターの豊島勝昭先生に聞く短期連載。第10回は、NICUの赤ちゃんと家族を支える看護師の役割について聞きました。
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小さく生まれた赤ちゃんと両親の触れ合いを大事に
——神奈川県立こども医療センター(以下、神奈川こども)のNICUでは、カンガルーケアを積極的に行っているそうです。最近のカンガルーケアの様子を教えてください。
豊島先生(以下敬称略) 体重1000g未満で生まれたみづきくんのことをお話しします。みづきくんは、保育器の中で約1カ月間、さまざまな治療を受けていました。生後1カ月を過ぎたある日、人工呼吸器管理は続いていましたが、ご両親と担当医や看護師さんと一緒に予行練習した上で、初めてのカンガルーケアをしました。ご両親と、見守るスタッフたちで喜び合う笑顔がとてもすてきでした。
——体重1000gに満たない赤ちゃんも胸に抱くことができるのですね。
豊島 1000g未満で生まれた赤ちゃんたちは体温が下がりやすく、閉鎖型の保育器の中で体温維持してあげることが必要ですが、カンガルーケアは、ご両親の胸の上で素肌と素肌を合わせるように抱っこするので体温が下がらずにすみます。
また、カンガルーケアには母乳の分泌を増やし、赤ちゃんたちの成長を促進し、両親のストレスをやわらげることなどの報告もあります。
日本の多くのNICUと同様に神奈川こどもでも10年くらい前まで、1000g未満の赤ちゃんの人工呼吸器がはずれるまでは、保育器から外に出してのご両親の抱っこはしていませんでした。ホールディングといって手で包むように触れるスキンシップをしていました。
しかし、当院のスタッフたちがスウェーデンのNICUを見学すると、1000g未満の赤ちゃんたちでも、生後1週間ほどの人工呼吸器をしている状態で保育器の外に出てご家族がカンガルーケアをしていました。見学したスタッフは、早産の赤ちゃんたちが集中治療を受けながらでも、両親と触れ合いながら過ごす姿に感動したことを伝えてくれました。
そういった海外のNICUの取り組みを知り、私たちも、赤ちゃんの状態が安定したら人工呼吸器をつけながらのカンガルーケアをすることに取り組んできました。実際にまだ人工呼吸器につながっている赤ちゃんたちのカンガルーケアを実施してみると、親子水入らずで過ごしている間は、呼吸の状態がむしろ安定していることが多いと感じています。
——人工呼吸器をしている小さな赤ちゃんにカンガルーケアをすることの難しさはどんなところですか?
豊島 1000g未満の赤ちゃんたちは、肺の発達が未熟で酸素を体内に十分に取り込むことが難しいため、生後1カ月〜2カ月くらいは肺の近くに気管チューブを挿入した上で人工呼吸器のサポートが必要なことが多いです。人工呼吸器をつけている間は、保育器からご両親の胸に移動してもらうときに人工呼吸器がはずれたり、気管チューブが抜けてしまうと呼吸が苦しくなってしまうリスクがあります。100%安全とは言えません。
だからカンガルーケアを行う際には、事前にご両親にカンガルーケアの説明をして、看護師さんたちと一緒にシミュレーションなどの事前練習をした上で、安全に気をつけながらカンガルーケアを行うことにしました。保育器から移動するときには、赤ちゃんの様子をよく観察しながら、体についているたくさんのチューブなどが抜けてしまわないようにスタッフとご家族が一緒に細心の注意を払いながらカンガルーケアをしています。
引用元:
1000g以下で生まれた小さい赤ちゃんの命。必死で守ろうとする看護師たちの姿〜新生児医療の現場から〜【新生児科医・豊島勝昭】(Yahoo!ニュース)