有床診療所は、今年(2024年)7月末時点で5447施設・7万2892床に減少した—。
現在のペースで進めば、▼来年(2025年)4月末には7万床を切る▼再来年(2026年)2月末には5000施設を割り込む—可能性が高い—。
厚生労働省が10月11日に公表した医療施設動態調査(2024年7月末概数)から、こうした状況が分かりました(厚労省のサイトはこちら)。
2024年7月末時点における医療施設の施設数とベッド数(医療施設動態調査24.07 241011)
目次 [非表示]
1 有床診の施設数は5447施設、2026年2月末に5000施設を割る可能性大
2 有床診のベッド数は7万2892床に減少、2025年4月末に7万床を切る可能性大
有床診の施設数は5447施設、2026年2月末に5000施設を割る可能性大
厚労省は、毎月末の医療機関(病院・診療所)施設数・ベッド数を「医療施設動態調査」として公表しています(前月末の状況はこちら、前々月末の状況はこちら、その前の月末の状況はこちら)。
今年(2024年)7月末の医療医施設数を見ると、全国では17万9622施設で、前月末(2024年6月末)から8施設減少しました(2024年6月の数字を精査・修正している点に留意、以下同)。
このうち病院の施設数は8064施設で前月末か3施設減。種類別に見ると、▼一般病院:7007施設(前月末から3施設減)▼精神科病院:1057施設(同増減なし)—となりました。一般病院のうち「療養病床を有する病院」は3344施設で前月末から6施設減少、「地域医療支援病院」は704施設で前月末から増減ありません。
医科診療所に目を移すと、施設数は10万5126施設で、前月末から53施設増加。内訳は、無床クリニックが69施設増加(9万9679施設)、有床クリニックが16施設減少(5447施設)となりました。
医科有床診療所の施設数推移を見ると、2年前(2022年7月末)には5981施設、1年前(2023年7月末)には5731施設でした。2022年7月末から2023年7月末までの1年間で250施設減少、そこから本年(2024)年7月末(5447施設)までの1年間で284施設減少しています。有床診療所の施設数は、2023年6月末以降、次のように推移しています。
▼2023年7月末:5731施設
↓(18施設減)
▼2023年8月末:5713施設
↓(19施設減)
▼2023年9月末:5694施設
↓(19施設減)
▼2023年10月末:5675施設
↓(14施設減)
▼2023年11月末:5661施設
↓(18施設減)
▼2023年12月末:5643施設
↓(30施設減)
▼2024年1月末:5613施設
↓(20施設減)
▼2024年2月末:5593施設
↓(28施設減)
▼2024年3月末:5565施設
↓(38施設減)
▼2024年4月末:5527施設
↓(16施設減)
▼2024年5月末:5511施設
↓(48施設減、再集計後)
▼2024年6月末:5463施設(再集計後)
↓(16施設減)
▼2024年7月末:5447施設
直近1年間は、1か月当たり「24施設弱」のペースで減少が続いています。現在のペースが続くと仮定すれば、再来年(2026年)2月末に5000施設を割ってしまう計算です。前月までより2か月早いペースです。
有床診のベッド数は7万2892床に減少、2025年4月末に7万床を切る可能性大
次に病院・診療所の病床数(ベッド数)を見てみましょう。
医療機関全体では、今年(2024年)7月末時点で154万3563床となり、前月末から646床の大幅減となりました。
このうち病院病床数は147万615床で、前月末から440床減少しています。医療法上の病床種類別に見ると▼一般病床:87万9776床(前月末から184床増加)▼療養病床:26万8824床(同161床減少)▼精神病床:31万6548床(同463床減少)—などとなりました。療養病床の減少では「介護医療院等への移行」や「2024年度診療報酬における『経過措置病棟』(看護・介護配置20対1未満)の廃止」などを踏まえた動き(病床転換など)が、精神病床の減少では「入院から地域への移行」が進んでいる点なども加味して考慮する必要があります。
他方、有床診療所の病床数は前月末から204床減少し、7万2892床となりました。
2年前(2022年7月末)には8万755床、1年前(2023年7月末)には7万7124床でした。2022年7月末から2023年7月末までの1年間で3631床減少、そこから今年(2024年)7月末(7万2892床)までの1年間で4232床減少しています。2023年6月末以降、有床診のベッド数は次のように推移しています。
▼2023年7月末:7万7124床
↓(270床減)
▼2023年8月末:7万6854床
↓(280床減)
▼2023年9月末:7万6574床
↓(290床減)
▼2023年10月末:7万6284床
↓(220床減)
▼2023年11月末:7万6064床
↓(273床減)
▼2023年12月末:7万5828床
↓(444床減)
▼2024年1月末:7万5384床
↓(269床減)
▼2024年2月末:7万5115床
↓(561床減)
▼2024年3月末:7万4554床
↓(546床減)
▼2024年4月末:7万4008床
↓(263床減)
▼2024年5月末:7万3745床
↓(649床減、再集計後)
▼2024年6月末:7万3096床(再集計後)
↓(204床減)
▼2024年7月末:7万2892床
この1年間では、1か月当たり「353床弱」のペースで減少が続いています。現在のペースが継続すると仮定すれば、来年(2025年)4月に7万床を切る計算です。前月までと同じペースです。
有床診は、▼将来の地域包括ケアシステム(要介護状態になっても住み慣れた地域で在宅生活を継続可能とする仕組み)▼現在の医療提供体制―のいずれにおいても重要な構成要素の1つです(2次医療圏の中には、総ベッド数の4分の1が有床診である地域もある)。有床診の減少は、現在および将来における地域医療・介護提供体制の脆弱化を招きかねません。5月31日に開かれた「新たな地域医療構想等に関する検討会」でも、こうした点が有床診サイドから強調されました。
厚労省は、2018年度診療報酬改定(介護報酬との同時改定)で、有床診療所を(1)専門特化型(2)地域包括ケア型―の2類型に分け、後者の『地域包括ケア型』について「過疎地などにおける入院医療の重要な支え手(地域包括ケアシステムの重要な担い手)であるものの、経営が厳しく、存続が困難」といった課題に直面していることを重視。有床診経営を支援するために、要介護者の受け入れを【介護連携加算】で評価するなどの報酬見直しを行いました(関連記事はこちらとこちら)。
また2020年度診療報酬改定では、各種加算の引き上げなど見直しが行われました(関連記事はこちら)。
さらに、2022年度診療報酬改定では、例えば次のような見直しが行われています(関連記事はこちら)。
【初期加算の細分化と充実】
〇有床診療所入院基本料
他院の急性期病棟からの転院患者、介護施設や自宅等からの入院患者受け入れを評価する【有床診療所一般病床初期加算】(1日150点、14日)
↓
▼急性期病院からの転院患者受け入れを評価する【有床診療所急性期患者支援病床初期加算】(1日につき150点、21日を限度)
▼介護施設や自宅等か他の入院患者受け入れを評価する【有床診療所在宅患者支援病床初期加算】(1日につき300点、21日を限度)
〇有床診療所療養病床入院基本料
他院の急性期病棟からの転院患者、介護施設や自宅等からの入院患者受け入れを評価する【救急・在宅等支援療養病床初期加算】(1日150点、14日)
↓
▼急性期病院からの転院患者受け入れを評価する【有床診療所急性期患者支援療養病床初期加算】(1日につき300点、21日を限度)
▼介護施設や自宅等か他の入院患者受け入れを評価する【有床診療所在宅患者支援療養病床初期加算】(1日につき350点、21日を限度)
【新加算の創設】
〇有床診療所療養病床入院基本料において慢性維持透析患者受け入れを促すために、新たに【慢性維持透析管理加算】(1日につき100点)を創設する(対象は人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、血漿交換療法、腹膜灌流を行っている患者)
〇産婦人科・産科に従事する常勤医師を3名以上配置し、常勤助産師を3名以上配置し、年間分娩件数120件以上等の基準を満たす有床診療所が地域周産期母子医療センターと連携して、▼40歳以上の初産婦▼子宮内胎児発育遅延の患者▼糖尿病の患者▼精神疾患の患者—で、医師が地域連携分娩管理の必要性を認めた患者に対して適切な分娩管理を行うことを【地域連携分娩管理加算】(3200点、【ハイリスク分娩等管理加算】の下部項目)として新たに評価を行う
有床診の減少状況を見ると、こうした診療報酬改定の効果は十分には現れていないようです。2024年度の診療報酬改定では、意思決定支援の強化、訪問リハや訪問栄養食事指導、医療ショートなどの実施推進といった機能強化に力が入れられました。この効果がどう現れるのか、今後の状況を見守る必要があります。
なお、診療報酬では解決できない問題(後継者不足など)もあり、その点にどのように対応していくのかも今後の重要な検討テーマとなります。
引用元:
有床診療所減少止まらず5447施設に、2025年4月に7万床、26年2月に5000施設を割る可能性—医療施設動態調査(2024年7月末)(GemMed)