茨城県つくば市は今後も人口増加が見込まれていますが、実は出産ができる医療機関が不足しています。誰もが安心して出産できる環境づくりのため、つくば市と筑波大学が連携して整備を進めてきた「つくば市バースセンター」の機能が強化されました。開設の背景や施設の特徴など、詳しく取材しました。
(水戸放送局 記者 丸山彩季)
人口増加が進むつくば市の出産環境は
総務省が住民基本台帳に基づいて発表したデータによりますと、2023年1月1日現在の茨城県つくば市の人口増加率は2.3%と全国の市と区の中で最も高くなっています。つくばエクスプレス沿線の子育て世帯の増加などにより今後も人口増加が見込まれています。
一方、厚生労働省の「出産なび」によりますと、つくば市の産科の病床数はあわせて80床と、人口が同程度の水戸市の175床と比べて少なく、市外で出産せざるを得ないケースもあるなど施設の充実が課題となっています。
つくば市によりますと、出産したほぼすべての市民を対象に行っている「赤ちゃん訪問」の際に、聞き取りをした結果、市内での予約が取れず出産場所が市外になったという人の割合は、令和2年度は9.5%、令和3年度は8.7%、令和4年度が8.3%、令和5年度 は5.2%でした。
希望どおりに出産ができなかったひとが一定数いることも、バースセンター設置の背景となっていて、市はこの数字を「ゼロ」にして、誰もが希望する場所で出産できるよう筑波大学と連携して環境整備に取り組んできました。
「つくば市バースセンター」とは?
「つくば市バースセンター」では助産師が中心となって、妊娠や出産のリスクが低い妊婦を対象に妊娠から出産、そして産後のケアや回復期までをサポートします。
つくば市と筑波大学は平成25年に筑波大学附属病院の産科病棟の35床のうち6床をバースセンターの病床として整備し、運用してきましたが、今回、新たな専用フロアを設けて従来の2倍にあたる12床に増やしました。
特徴は“安全性と助産師こだわりの快適性”
最大の特徴は妊娠から出産、そして産後のケアまで同じ部屋で移動することなく過ごせることだといいます。
通常、「陣痛室」や「分べん室」、「病室」など部屋を移動するケースが一般的ですが、ここでは部屋を移動することなく、「LDR室」と呼ばれる部屋で陣痛から出産、そして産後のケアや回復するまでを過ごします。家族の立ち合い出産もできるということです。
すべての部屋がLDR室で、室内は木目を基調に落ち着いた色合いになっていて、手術室のようなライトではなく照明は暖色系のものを使用しているほか、医療機器もクローゼットなどに収納して目につかないつくりになっています。また、シャワーやトイレも設置されていて、家庭的な雰囲気で生活することができます。
助産師が中心となって外来での定期検診などをする一方、出産には医師が立ち会って妊婦の安全面も確保するということです。また、リスクの低い妊婦でも、出産自体には危険が伴うため、妊娠中や出産の際に異常がある場合は、大学病院の高度な医療を受けることもできるということです。
筑波大学附属病院によりますと、病院では現在、年間約1000人の出産がありますが、センターの完成によって、1300人まで対応することが可能になるということです。
「つくば市バースセンター」濱田洋実 部長
出産は母子ともに危険の伴う行為なので、安全面を確保しながら、赤ちゃんの人生の第一歩を家族みんなで祝えるような環境にしていきたい。
大学病院であることから万が一の際には、国内でも最先端の医療を提供することもできるので、出産場所の選択肢のひとつにしてほしい。
「つくば市バースセンター」では8月19日から拡大された新たな専用フロアでの受け入れが始まり、センターの利用について追加の料金などはなく通常の出産費用と変わらない金額で利用できるということです。
引用元:
筑波大学附属病院「つくば市バースセンター」機能大幅強化 出産環境どう変わる?(NHK)