熊本市の慈恵病院で親が育てられない乳幼児を匿名で受け入れる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)の運営に関し、約3年ごとに検証する市の専門部会が5日、報告書を発表した。匿名性の利点を評価する一方、母子の支援態勢を整えるため「最後まで匿名を貫くのは容認できない」とし、秘密を守りつつ実名を明かせる環境の整備を求めた。
蓮田健院長は報道陣の取材に応じ「匿名でないと接触できない女性が多数いる。匿名だから救える命がある」と述べた。
また、ゆりかごに一時的に預けられた子が死亡した事案を巡り、病院側が報道機関に情報提供した事例があったとし「同意なく漏らすことはプライバシーの侵害に当たる」と指摘。蓮田院長は「預けられた子が亡くなったことに警鐘を鳴らすためだった」と説明した。
ゆりかごは運用開始から17年が過ぎ、当初預けられた子は成人に近づきつつある。報告書は、匿名性が「母子にとっての緊急避難」として「援助への入り口」となり得る点は認めたが、「(子の)出自を知る権利の保護を目指す必要がある」と注文を付けた。
身元情報を(当局などでなく)病院にのみ明かした事例が複数報告されたが、病院側の情報の取り扱いが「明確にされていない」とし、「一定の規定」の導入を促した。医師や弁護士らで構成する部会が同日、昨年3月までの3年分の検証報告書を市に提出した。〔共同〕
引用元:
実名明かせる環境整備を 赤ちゃんポストで熊本市部会(日本経済新聞)