この30年で第1子を出産する女性の平均年齢は上がっているという統計調査があります。40代以降は糖尿病の有病者や予備軍が増えるという調査結果もあり、高齢出産の場合は妊娠・出産に伴うリスクに一層、注意が必要です。
産婦人科から紹介されたという40代前半の女性が受診しました。この女性は不妊治療の目的で産婦人科を受診したのですが、そこで受けた血液検査で糖尿病の疑いを指摘され「専門のクリニックを受診するように」と言われたそうです。
数年前にも血糖値の軽度な異常を指摘されていましたが、あまり気にすることもなく、少しずつ体重も増えてしまっていたとのこと。女性の父親も糖尿病を患い、入院を繰り返していると教えてくれました。
「25以上」あれば肥満とされるBMI(体格指数)は「33」ありました。つまり肥満といえます。血液検査などの結果により「糖尿病」と診断しました。白米をたくさん食べていたそうで、運動もほとんどしていませんでした。
血糖値が高いと妊娠しにくかったり、せっかく妊娠しても流産してしまったりする可能性が高くなります。
また妊娠して胎盤が形成されると、血糖値が上がりやすくなります。母体が高血糖になると、子宮内で赤ちゃんが大きくなりすぎる場合もあり、帝王切開が必要になるケースもあります。合併症をできるだけ起こさないためにも、妊娠する前に一度、健康診断などで糖尿病の有無を調べておいたほうがよいでしょう。
妊娠前に糖尿病が判明すれば、治療したり、できるだけ血糖値を良い状態に保つように生活習慣を整えたりして、妊娠に備えることができます。健診などを受けておらず、妊娠が判明した後で糖尿病であることが分かるケースもありますが、慌てて治療を開始しても、残念ながら流産してしまうことも珍しくありません。
妊娠前の血糖値に異常がなくても、妊娠中に糖尿病を発症してしまうことがあります。そのため、妊娠中には産科で血糖値を測定する機会が設けられ、糖尿病の疑いがあれば、さらに詳しく検査するようになっています。
受診した女性は、まずは血糖値を下げて、不妊のリスクをできるだけ減らし、いつ妊娠してもよい状態を整えておくことを今の目標にしました。「妊活のためなら、食事も運動も頑張れそうです」と言って診察室を後にしました。
(しもじま内科クリニック院長 下島和弥)
引用元:
妊活前に健康診断を受けて血糖値の把握を(産経ニュース)