子宮頸(けい)がんなど複数のがんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンの男性への接種について、厚生労働省の専門家委員会は14日、費用対効果に課題があるとの見方を示した。検討を続けるが、男性の定期接種は当面見送られる見込みとなった。

【図表】自治体の子宮頸がん検診にHPV検査導入へ 30歳以上で5年おき

 HPVワクチンは女性の子宮頸がん予防を目的に、小学6年から高校1年相当の女性を対象に定期接種化されている。子宮頸がんの主な原因は性交渉によるHPVへの感染。女性の感染機会を減らす観点などから、厚労省は2022年8月から男性の定期接種化に向けた議論をしていた。

 HPV感染が原因となるがんは、子宮頸がんのほかに、肛門(こうもん)がんや、舌の根元あたりにできる中咽頭(いんとう)がんなども知られる。国立感染症研究所によると、1月時点で世界保健機関(WHO)加盟国のうち59カ国で男性もHPVワクチンの定期接種の対象としている。

 現在日本で男性に認められているのは、4種類のHPV型を防ぐ4価ワクチンの3回接種のみ。肛門(こうもん)がんなどを防ぐ効果がある。全額自費で計約5万円かかるため、接種費用を助成する自治体も増えている。

 この日の委員会では、有効性や安全性に異論はなかった。一方、男性の肛門がんなどHPV関連の病気を予防する費用対効果では、基準値より悪い試算が示された。一般的に500万〜600万円を下回ると費用対効果は良好とされるが、男性の肛門がんや良性いぼの予防では約2億3千万円、中咽頭(いんとう)部周辺のがんを含んでも約9千万円と推計された。患者数が多くない病気であることや、発症まで時間がかかり科学的知見が不足していることから、費用対効果が悪くなる傾向があるという。

引用元:
男性のHPVワクチン定期接種、当面見送り(Yahoo!ニュース)