SRHR(性と生殖に関する健康と権利)の実現に向け、NPO法人女性医療ネットワークの池田裕美枝理事長と宋美玄理事(ともに産婦人科医)、社会調査支援機構チキラボの荻上チキ所長が3月4日、記者会見を厚生労働省で開いた。SRHRとは、子どもを産む・産まない自由など、個人の性や健康に関する自己決定を、権利として社会で支えるという考え方。池田氏らは学校での性教育だけでなく、子どもを取り巻く全ての環境が重要だと訴えた。
会見では、池田氏らがフランスで視察した事例について報告。未成年でも保護者の同意なく匿名・無償で、避妊や中絶などに関する情報を得たり、相談したりすることができる「性的健康センター」や、10代の若者が予約不要・匿名・無償でカウンセリングを受けられる「メゾン・ド・ソレン」などを紹介した。
池田氏によれば、メゾン・ド・ソレンは学校に通う子どもたちにも周知されているといい、「学校現場のみならず、子どもを取り巻く全ての環境が教育になる。子どもたちが『自分の声を大切にしてもらえる』という体験を得ることの積み重ねが、『性的同意』の基盤にもなる」と説明した。
また荻上氏は「日本でSRHRというと、学校の性教育の拡充ばかりが強調されるが、教育のカリキュラムを変えるだけでは達成されない」と指摘。「SRHRは権利であり、それを実現する手段が社会になくてはならない。無償で医療が受けられたり、避妊薬を入手できたりする、匿名で相談できるなど、いろいろな仕組みが埋め込まれていることが必要で、これがまだまだ弱いのが日本の課題だ」と語った。
さらに宋氏は「日本ではこれまでSRHRという発想自体があまりなく、学校でも、集団の中ではみ出ないよう、迷惑を掛けないよう、秩序を保つことが重んじられてきた。自分と他人の間に境界があり、一つ一つに同意が必要なのだということが大切にされてこなかったが、これからの時代は教育の場でも、家庭でも伝えていくことが大事になる」と話した。
引用元:
学校だけでなく社会全体でSRHR実現を 産婦人科医ら会見(教育新聞)