(ブルームバーグ): 神戸市の英ウィメンズクリニックで昨春、働きながら不妊治療を3年半続けた女性に朗報が訪れた。6回目の体外受精で妊娠を告げられた当時38歳の女性は「本当ですか?」と顔をほころばせたと、同クリニックの塩谷雅英理事長は振り返る。
受精卵の質は良いのに着床しない原因が分からない状況で、子宮内フローラ(細菌の集合体)の検査を受け、菌環境のバランスが崩れていることが分かった。抗生物質を1週間投与した結果、妊娠した。受精卵が着床しないのは染色体異常などさまざまな原因によるため、子宮内環境の改善が妊娠につながったかは不明だが、検査により「エビデンスに基づいた治療が可能になった」と塩谷氏は話す。
この検査を世界で初めて開発したのはスタートアップのVarinos(バリノス、東京都江東区)だ。検査で患者の子宮内フローラの状態を把握した医師が、細菌の状態に応じて抗生物質やサプリメントを投与して子宮内環境を改善、妊娠を目指す。国内外の19の論文で有用性が示され、実用化から約6年で全国約350の医療機関で導入されている。今年以降はアジアや欧米など海外での事業展開を進める計画だ。
厚生労働省が2月27日に発表した昨年の出生数(速報値)は8年連続で減少、75万8631人と過去最少を更新した。加速する少子化への対策として不妊治療の成功率向上への取り組みは不可欠だ。
同省によると、日本では約4.4組に1組の夫婦が不妊の検査や治療を受けたことがあり、体外受精など生殖補助医療によって生まれる子どもの割合は2021年に11.6人に1人と、20年の13.9人に1人から増加した。22年4月には不妊治療への保険適用が始まるなど国も施策を強化する中、バリノスのように、女性の健康問題を技術で解決する「フェムテック」で不妊治療を支えるスタートアップが成果を挙げつつある。
患者の年齢高い日本
厚労省の資料によると、日本の不妊治療の特徴として、患者の年齢が高いことが挙げられる。治療成績の低い40歳以上の患者の割合が43%と、イタリア(29.4%)や米国(22.2%)を上回り、世界で最も高い。日本産科婦人科学会の資料によれば、女性が妊娠する確率は35歳を過ぎると明らかに低下し、生殖補助医療を行った場合でも妊娠率と生産率は年齢とともに下がる。
引用元:
不妊治療のつらさ、スタートアップの技術が軽減−フェムテックで成果(Yahoo!ニュース)