不妊治療をしているとお金が一瞬で溶けていく――。不妊治療の公的医療保険の適用範囲が大幅に拡大して今年4月で丸2年を迎える。高額の体外受精が利用しやすくなる一方で、冒頭のような声はいまだに聞こえる。保険適用されて軽減される人、適用されずに増える人の事情を探った。
「制度の恩恵、感じる」
「保険適用のおかげで体外受精に踏み切ることができた」と振り返るのは、千葉県市川市に住む女性(34)だ。夫とともに会社員として働く共働き世帯。
結婚から2年近く、性行為のタイミングを図るなどの妊活を続けてきたが、自然妊娠に至らなかった。原因も分からずじまいで、一般的に1回50万円以上とされる体外受精の費用の高さにとまどい、次のステップに進めずにいた。
その矢先、不妊治療の公的保険適用が拡充され、受診した医療機関で「自己負担は3割で済みますので」と体外受精を勧められた。幸い1回で妊娠し、2023年10月に第1子を出産した。
費用は50万円近くかかったが、夫婦の負担は19万円ほど。女性は「保険適用がなかったら、治療費全てを自費で賄うことは難しかった。お金をためている間に年齢を重ねて妊娠できなくなる不安があったので制度の恩恵を感じている」と明かす。
厚生労働省によれば、22年4月〜23年3月に不妊治療で保険適用を申請したのは約37万人に上る。このうち、約27万人が体外受精や顕微授精を含む生殖補助医療を利用した。
妊娠しやすい排卵日を予測する「タイミング法」や、排卵時期に合わせて精子を子宮に入れる人工授精などの一般不妊治療の利用者は約10万人。勃起不全治療薬を処方するなど、男性の不妊治療を選んだのは約500人だった。
引用元:
「お金が溶けていく…」不妊治療、保険適用開始でも負担増の背景(毎日新聞)