国立がん研究センターは、がん診療の拠点病院などで2011年にがんと診断された人の10年後の生存率を発表した。小児(0〜14歳)や、「AYA世代」と呼ばれている15〜39歳で、がんの種類別の実測生存率を初めて集計した。小児がんの多くは、診断から5年後の生存率と比べて大きな低下はなく、長期の治療経過は比較的良いことがデータで裏付けられた。

 全国の341施設で11年に診断されて初回の治療を受けた約36万例を集計した。このうち、小児は1237例、AYA世代は1万1965例だった。

小児がんの中で最も多い白血病の10年生存率は、86・2%。5年生存率(88・4%)と比べて大きく低下していなかった。次いで多い脳腫瘍も同じような傾向で、5年生存率は73・5%、10年生存率が71・5%だった。

 一方、AYA世代では、がんの種類によって違いが見られた。

 脳・脊髄(せきずい)腫瘍の5年生存率は83・5%だったのに対し、10年生存率は77・8%で低下していた。乳がんも5年生存率は90%、10年生存率は83・5%と低下傾向があった。

子宮頸部(けいぶ)・子宮がんの場合、5年生存率は88・6%、10年生存率は87・2%で大きく下がらなかった。68・4%の患者はステージ1期の「早期がん」で、40歳以上の患者(38・8%)と比べて多かった。

 40歳以上も含めた全てのがん患者の10年生存率は実測で46%、がんの影響を直接的に計算し、より実態に近い生存率は53・5%だった。

国立がん研究センターの石井太祐(たいすけ)・院内がん登録分析室研究員によると、現場の医師らには小児がん患者の長期の予後が良いという実感があった。ただ、それを示すデータは乏しかったという。

 特に子どもは発育途中のため、がんやがんの治療が成長や発達などに影響を与える「晩期合併症」が起きることがある。石井さんは「長期的なフォローアップが重要だ。今回のデータをがん対策やケアにつなげる基礎資料にしてほしい」と話した。

これらの生存率は10年以上前の診断データを基に算出しているため、がんによっては治療法が進歩していて、生存率が改善している可能性がある。【下桐実雅子】

引用元:
がん診断の0〜39歳 10年後の生存率を初集計(毎日新聞)