東京大学大学院医学系研究科の曾根献文准教授らの研究グループとソフトウエア開発のサイオステクノロジー(東京・港)は、子宮にできる悪性腫瘍の一種である子宮肉腫について、AI(人工知能)で自動識別するシステムを開発した。同システムを術前診断で活用すれば、MRI(核磁気共鳴画像)検査の結果から腫瘍を含む画像だけを自動で抽出し、子宮肉腫かどうかを見分けられる。AIによる正診率は92.44%で、放射線科専門医が診断した場合の正診率84.38%を上回る結果が得られた。

子宮肉腫を自動診断するAIシステム
MRI画像から腫瘍部位を含む画像を抽出し、子宮肉腫かどうかを判定する。(出所:東京大学)
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 子宮の腫瘍には、子宮肉腫と類似した画像の特徴を持つ子宮筋腫があり、それぞれ治療方法が異なるため、術前にこれらを正確に見分ける必要がある。子宮肉腫は予後が悪い希少のがんで、子宮を全摘出する必要がある。一方、子宮筋腫は良性腫瘍で、子宮を温存しながら腫瘍部のみを摘出したり、薬物治療で経過観察したりする方法がある。従来は、医師がMRIの結果を基に識別・診断を行っていたが、今回開発したAIシステムを用いれば、診断を自動化できる。加えて、医師でも診断が難しかった症例について高い精度で診断できる可能性がある。

 今回のシステムは、MRIの結果から腫瘍を判別する「腫瘍判別AI」と、その画像から子宮肉腫かどうかを判別する「子宮肉腫鑑別AI」から成る。同研究グループは、子宮肉腫鑑別AIについては2022年に開発済みで、今回、前段の腫瘍判別AIを新たに実装した。これまでは、子宮肉腫鑑別AIに画像データを入力するために、腫瘍部位を含む画像を医師が選別する必要があったが、これが不要となり、臨床現場で得られたMRI画像全てをそのまま入力データとして扱えるようになった。さらに、これまで活用できていなかった未知の症例データについても、活用できるようにした。

 実験では、学習用データセットとして、東京大学医学部付属病院、東京都立駒込病院、公立昭和病院の3施設における、子宮肉腫もしくは子宮筋腫に罹患(りかん)した患者263例(内訳は、子宮肉腫:63例、子宮筋腫:200例)のMRI検査の画像を用意した。学習には、機械学習の一種である深層学習(ディープラーニング)を用い、評価判定した。実験では、子宮肉腫であるにもかかわらず誤って人が子宮筋腫と判定していたデータセットが含まれていたものの、AIは子宮肉腫であると正しく診断できたという。研究グループは、こうした誤診断の予防にも役立つと見ている。

引用元:
東大などが子宮肉腫を判別するAI、専門医の診断結果をしのぐ(XTECH)