がん患者やその家族が悩みを寄せる「がん電話相談」。今回は子宮体がんの手術後、2度にわたり再発した60歳女性に、がん研有明病院の元婦人科部長、瀧澤憲医師が答えます。
――令和3年、早期(ステージTA)の子宮体がんを腹腔(ふくくう)鏡手術(子宮と両側卵巣・卵管摘出)で治療したものの、その翌年、膣(ちつ)断端(手術時の切り口)に再発し、5年1月、手術と術後化学療法を受けました。しかし7カ月後の8月、同じ部位に再再発しました。なぜ再発を繰り返すのでしょう。
「子宮体がんは画像診断(造影MRI)で病巣が小さいと腹腔鏡手術が選択される傾向があり、骨盤リンパ節郭清もしばしば省略されます。開腹手術が主流だった時代でもT期の手術後、3%ほどに膣断端再発が起きていました」
「なぜ膣断端に再発を繰り返すのか、ですが、子宮切除に伴う膣壁の切除が不十分であったり、手術中にがん細胞がこぼれ落ちて膣断端に生着したり、リンパ管を通って膣壁に潜在転移を起こしたりするなどの原因が想像されます。特に顔つきの悪い子宮体がん(低分化型の類内膜がんや漿液性腺がんなど)ではこうした懸念があるために、子宮摘出後に膣壁や膣腔内を生理食塩液で洗浄したり、予防的に膣断端への放射線治療が行われたりすることもあります」
――膣断端再発の一般的な治療法は。
「結節(がんのしこり)の大きさと、その前方にある膀胱(ぼうこう)、後方の直腸とのスペース(間隙)をMRIで検査します。もし、がんの大きさが2センチ未満で、膀胱、直腸と十分なスペースがあれば、膣壁から膀胱と直腸を剝離して、膣壁を十分に切除すれば安心できます。2センチ未満であれば、放射線治療で根治が見込めますので、手術が怖いという場合は、全骨盤への外照射(体の外からの照射)と膣腔内照射を併用します」
「結節の大きさが2センチ以上であれば膀胱、直腸とのスペースの評価をさらに慎重に行い、より大きな手術が必要になることも覚悟します。放射線治療の場合も、組織内照射(結節に棒状の器具を挿し照射)を併用することを考慮します」
――私の場合は、膣断端切除後7カ月での再再発です。今後どうすれば?
「まずPET―CTなどで遠隔転移や骨盤内リンパ節転移の有無を検査します。遠隔転移があれば、全身化学療法を選択、遠隔転移がなければ、膣断端の結節を手術か放射線で制御します」
「相談者の場合、2度目の術後化学療法の反応が悪かったようなので、優先的に手術を選択したいところですが、手術はこれまでと比べて大がかりになるかもしれません。膀胱全摘と尿路変更(小腸の一部を切除し、片端を縫合閉鎖。さらに左右の尿管を移植して仮の膀胱とし、右の下腹部から外に小腸を挙上して尿の出口とする=人工膀胱)、あるいは直腸切除と人工肛門設置などを覚悟しなければなりません。手術が怖いとなれば、全骨盤照射に化学療法を併用し、膣断端部には限局的に追加照射(ブースト照射)を行うことになります」
引用元:
子宮体がん 繰り返す再発 再手術か放射線+化学療法どちらを選べば?(産経新聞)