妊娠中の母親の体内では、母体と胎児との間で細胞が交換され、双方の組織に互いの細胞がわずかに定着することが、近年の研究で示されている。この現象は、マイクロキメリズムと呼ばれる。マイクロキメリズムは、妊娠中の母親の免疫系が、本質的には異物である胎児を攻撃しないように調節する一因と見なされているが、その全体像はいまだ明らかになっていない。こうした中、米シンシナティ小児病院医療センターのSing Sing Way氏らによるマウスを用いた研究で、この現象が考えられている以上に長期にわたって影響を及ぼし、母体の次の妊娠の成功に寄与する可能性が示唆された。この研究の詳細は、「Science」に9月21日掲載された。

 今回の結果は、実験用マウスを用いて得られたものであるが、Way氏は、「マウスで観察された母子間のマイクロキメリズムがヒトでも見られることを示した研究報告はある」と説明し、今回の結果がヒトにも該当する可能性があることを強調する。同氏はまた、「『母体が胎児を拒絶しないようにするにはどうすればよいのか』という生殖にまつわる課題を抱えているのは、マウスに限らずどの種も同じだ」と話す。



引用元:
母親と胎児が互いの細胞を交換 「マイクロキメリズム」 次の妊娠に貢献?(毎日新聞)