熊本市の慈恵病院は21日、病院以外に身元を明かさず子供を産む「内密出産」について、2021年12月の初事例から2年間で21例あったと発表した。このうち約8割の16人が病院に来るまで医療機関を受診したことがなく、記者会見した蓮田健院長は「孤立出産に追い込まれる女性たちの状況が厳しいことを知ってほしい」と訴えた。
病院によると、21人に聞き取りをしたところ、内密出産を選んだ理由として9割近い18人が「親に知られたくない」と答え、親からの虐待や過干渉などで家族関係がうまくいっていないケースが目立った。ただ、9人は出産後に身元を明かし、内密出産を撤回した。
21人のうち19歳以下が8人で、20〜29歳が12人、30歳以上が1人だった。居住地として最も多かったのは熊本県を除く九州が7人で、次に関東6人が続き、北海道からが来院した人もいた。慈恵病院までの交通手段は新幹線が最も多い15人で約7割を占めた。
内密出産を巡っては、国が22年10月に指針をまとめたが、身元情報の管理や開示方法を医療機関の判断に委ねるなど課題も多い。
蓮田院長は「内密出産に対応した医療施設が各都道府県に1カ所設置されることが望ましい」と制度の広がりに期待しつつ、「妊娠に悩む女性の実情について社会の理解を深めることが重要だ」と指摘し、今後も国に法整備を求める考えを示した。【中村園子】
引用元:
慈恵病院 「孤立出産の女性、状況厳しい」 内密出産初事例から2年(毎日新聞)