がん患者やその家族が悩みを寄せる「がん電話相談」。今回は子宮頸部(けいぶ)軽度異形成と診断された50歳女性に、がん研有明病院元婦人科部長の瀧澤憲医師が答えます。

――47歳の子宮がん検診で軽度異形成と診断され、3カ月ごとに子宮頸部細胞診を受けています。ところが「異常なし」とされた次の検査で「異常あり」になったりして、病院への不信感が出てきました。これはよくあることでしょうか。

「子宮がん検診の細胞診は、大きな集団の中から子宮頸がんの心配がある人を選別する目的で行います。検診では約2%が陽性とされ、精密検診に回されます。2回続けて細胞診に異常があれば、子宮頸がん、もしくはその前段階の子宮頸部異形成である確率が90%以上となります」

「細胞診の陽性率は患部を擦過する採取器具の違いでもばらつきが出ます。また出血を心配して擦過の強度を弱めると陽性率が下がります。さらに閉経前後になると、がんの発生母地(最初の発生場所)が膣部より奥の子宮頸管内に退行するので、膣部のみの擦過では陽性にならないことも多いのです」

――細胞診でがんかその前段階か、分かりますか。 「精密検診では@膣部と頸管部の2カ所から細胞を採取し、同時にA膣拡大鏡検査で膣部を10倍前後に拡大して観察します。膣部に異常が認められる場合は、B生検鉗子(かんし)で米粒くらいの組織を切除採取して、病理組織診断を行います。これは『膣拡大鏡下のパンチ生検』と呼ばれます」

「もし、膣部に異常が認められないときは、C細い棒状で先端に鈍匙のついた器具を頸管内に3〜4センチくらい挿入してゆっくり頸管内粘膜を搔爬(そうは、削り取ることを)します。一般的にゆっくり搔爬すれば痛みは少なく、無麻酔もしくは鎮痛剤座薬だけで可能です。細胞診と組織診の2つを実施すれば、子宮頸がんやその前段階の異形成を正確に診断できます」
――子宮頸がんはヒト乳頭腫ウイルス(HPV)の感染が原因と聞きました。HPVに対する免疫を強くすれば治癒できますか。

「HPVが持続的に潜伏感染して、子宮頸がんを発症させることは証明されています。感染後、軽度異形成から中等度異形成、さらに高度異形成を経て上皮内がんに進みます。現在、HPV感染を予防するワクチン接種が小学6年〜高校1年相当の女子に推奨されています。接種を受けていない場合、HPVの陽性率は20歳代がピークです。ただ30歳、40歳と年を重ねるにつれ、自然免疫の力でHPVは排除され陽性率は減少します」

「HPVに感染後に持続感染し、異形成を発症した場合でも、HPVを不活化できれば異形成を悪化させずに消失させられます。半年ごとに組織検査を行うと、組織破壊やその修復過程で、強い免疫誘導(免疫細胞によるウイルスへの攻撃)が起こることが期待できます。軽度異形成であれば、半年ごとに4回の組織検査を反復すると約75%の患者が治癒するというデータがあるのです」

引用元:
子宮頸部の細胞診、二転三転の診断に不信感 〜がん電話相談から(産経新聞)