次の子をなかなか授かれないことは「2人目不妊」と呼ばれる。不妊治療と子育てとの両立など「1人目とは全く違う大変さがある」と当事者は語る。

仕事との両立にも苦慮
 「卵管の状態から2人目はできにくい」。滋賀県の会社員の女性(39)は、医師に告げられていた。長男(10)は自然妊娠できたが、出産後、不妊治療を始めた。

職場には不妊治療を知られたくなかったため、採卵や胚移植で急な休みが必要な時は「体調不良」を理由にした。仕事の後、保育園で長男を引き取り、クリニックに直行したことが何度もあった。待ち時間に、泣いたり騒いだりしないようスマートフォンの動画をずっと見せていた。

 長男が小学生になると、より高度な治療を受けるため、車で片道2時間かかるクリニックに通った。帰宅すると長男は寝ていた。すれ違いの時間が多くなり、さみしい思いをさせたと感じる。

それでも長男は「ママ、早く赤ちゃん産んで」と励ましてくれるようになった。

 6年間の治療の末、2022年に長女(1)を授かった。「地方は専門クリニックが少なく、子育てや仕事をしながらの治療は大変だった。この子を一人っ子にさせたくないという思いを支えに頑張ることができた」。女性は振り返った上で訴えた。「誰にも言えずに不妊治療に向き合っている人たちがいることを知ってほしい」

サポート課題に

2人目不妊の原因については、第1子の出産後に子宮筋腫や卵管癒着が悪化して、次の子を妊娠しにくくなるケースが指摘される。またそもそもの晩婚化・晩産化もあり、1人目出産後には年齢がさらに進む。卵子の老化で、35歳ごろから流産の確率が高くなることも知られている。加齢による精子を作る機能や精子の質の低下という男性側の問題もある。

 ある専門医は「2人目不妊は、不妊治療を受ける人の2割くらいいる」と語る。希望する人が子どもを産み育てられるよう、サポートが課題になっている。

 不妊治療専門の「英ウィメンズクリニック」(神戸市)は今年春から、近隣の子育て施設「ポルト」と提携し、治療中に子どもを預けられるようにした。不妊の中でも特に難しい症例の患者が全国から集まり、診療時間は検査を挟んで4、5時間に及ぶこともある。託児料の一部をクリニック側が負担し、月50〜60組が利用している。

1人目の妊娠・出産に向けて治療中の人への配慮という面もある。「待合室で子どもの姿を見るのがつらい」との声も同院に寄せられていた。このため、5月の提携を機に院内に連れてくるのを禁止にした。

 2歳の長女をポルトに預ける地方公務員の女性(38)=岡山県=は、夫が単身赴任中で、「預け先に困っていたところだったので良かった」と喜ぶ。自宅近くに両親がいるが、1年半に及ぶ治療に「もう子どもは1人いるのだから、そこまでしなくても」と言うようになり、世話を頼みづらくなっていた。

誰かに頼る
「1人目とは全く違う大変さがある」。第2子に向けた不妊治療を今春から始めた兵庫県の元会社員の女性(34)は語る。間もなく2歳になる長女も不妊治療で授かった。

 自宅では排卵誘発の自己注射や服薬を続ける。薬の副作用で体調が悪い時、以前は横になって休むことができたが、今は子どもの世話があるのでままならない。子どもが発熱すると、自分の注射や服薬を忘れ、治療スケジュールが狂うこともある。

 子育て自体、何もかも初めてで、正解が分からず悩んだ。不妊治療のためにポルトに託児することにも、最初は罪悪感があった。

ポルトの佳山奈央代表は「子育てから離れ、自分の時間を持つことも大切」と利用者に声をかける。「1人目の育児負担が大きいと、2人目、3人目を持ちたいという気持ちにも関わってくる」と話す。

 女性は、長女の子育てで手いっぱいなのに2人目を望んでもいいのか、迷いながら治療を始めた。だが、「自分で全部背負わずに、困ったら誰かに頼ったらいいんや」と考えられるようになり、気が楽になった。

 同クリニックの林奈央診療部長によると、2人目の治療が思うようにいっていない時、親のイライラした気持ちは子どもに伝わりやすいという。「私だけじゃだめなの」と子どもに問われて、不安にさせていたことに気付く患者もいる。「治療をどうしていくかは『きょうだいがいた方が幸せ』などの固定観念や周囲の声に縛られず、家族の今の生活を最優先に考えることが大切だ」と話す。【山本真也】

引用元:
「誰にも相談できない」2人目不妊 子育てと治療の両立に苦慮も