子育てのお助けアイテムとして利用している人も多い、スマートフォンやタブレットでの動画視聴。「子どもに長時間見せるのはよくない」とは聞くけれど、どんな影響があるの? 今回は、スマートフォンやタブレット、ゲームなど「映像メディア」の長時間視聴が子どもに与える影響や、上手に付き合うヒントを小児神経学の専門家に聞きました。保育所・幼稚園、小中学校が足並みをそろえて実践する「メディアコントロール」の取り組みも紹介します。

 言葉の発達が遅れている、視線が合いにくい、気に入らないとパニックを起こす―。「これらの子どもの症状は発達障害によるものではなく、スマートフォンやタブレット、ゲームといった『映像メディア』の長時間視聴が原因となっている可能性もあります」

 2歳までの時期 特に大きく影響

 こう指摘するのは、福島医大ふくしま子ども・女性医療支援センター教授で、発達障害や精神障害など子どもの行動異常を研究している横山浩之さんです。

 横山さんは、福島市の福島医大病院をはじめ、県内各地の病院で子どもの発達障害外来を担当しています。「発達障害の疑いでたくさんの子どもが来院しますが、発達障害の問題だけの子どもはほんの一部。多くの子どもは長時間の動画視聴が原因で言葉の発達が遅れ、就寝時間が遅いことによる生活習慣の乱れが行動異常につながっています」と現場の状況を話します。

 横山さんによると、映像メディアを日常的に長時間視聴している子どもは、言葉の発達の遅れをはじめ、睡眠不足や行動異常、無気力・無関心、視力の異常、体力の低下、肥満などの症状を引き起こすことがあります。頑張れない、考えない、我慢できないといった特性も目立つそう。

 特に2歳までの時期は影響が大きく、4歳以降になって症状が顕在化することもあります。さらに、メディアに依存すると学齢期以降の不登校や引きこもりにつながるほか、最悪の場合は脳が損傷し、アルコールや薬物と同じような依存症にもなり得ると世界保健機関(WHO)が認定しています。

 発達障害に似た 症状引き起こす

 では、なぜ映像メディアの長時間視聴が子どもに悪影響を与えるのでしょうか。横山さんはその理由の一つに、対人関係の基盤となる「愛着」形成の問題があるといいます。

 乳幼児期は人が愛着を形成するために最も重要な時期。泣いて訴えることしかできない赤ちゃんは保護者に抱っこしてあやしてもらうなど直接関わってもらうことで、保護者に対する絶対的な信頼感を養い、愛着を形成していきます。

 一方、スマホなどであやされ続けた子どもは、保護者を愛着の対象にできなくなったり、適切な愛着を形成できなくなったりします。愛着形成に大きな問題を抱えた「愛着障害」は、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動性障害といった発達障害と似た症状を引き起こすそうです。

 保護者がスマホなどに気を取られている、常に部屋のテレビがついている、などの状況では、言葉になる前の子どもの小さなつぶやきや、視線などのサインに気付くことができません。子どもは自分が何かを発しても相手が反応しなければ、次第に言葉やサインを出さなくなります。このため、子どもの言葉の発達が遅れてしまうのです。「これらの見解は『子どもとメディア』の問題について調査研究が進む米国の小児科学会の提言を参考にしており、日本小児科医会もメディアの問題に関する提言を出しています」

 親が内容を厳選 一緒に体験する

 とはいえ、「スマホやテレビをまったく見せない生活は無理」という家庭も少なくないはず。小学校以降はタブレットを活用した学習もあります。望ましいメディアとの接し方とはどんなものなのでしょうか。横山さんは「親が厳選した内容を、時間を決めて親子一緒に視聴するのであれば悪くはない。学齢期以降も親の管理下で使わせることが望ましいです」と親が気を配ることの必要性を指摘します。「子どもに他の楽しみがあれば、スマホやゲームに夢中になりません。メディア以外の楽しみを見つけ、それを親子で一緒に体験することが大切です」

引用元:
【子育て応援隊】長時間視聴...大きな弊害 映像メディアの影響(福島民友新聞)