子育てに直面したときに、巷で耳にする、あんなウワサ、こんな説。それってほんとうに根拠があるの?
これまで、気になる論文を読んできた、情報理工学博士の山口先生が、世の中にあふれる「子育て説」を科学の面から一刀両断。現在子育てに悩んでいる方、なにかヒントが見つかるかもしれませんよ!
第28回目の今回は、「菌やウイルスと免疫力の関係」について、お話しします。
赤ちゃんが好きな「舐め遊び」。実は体のために必要な行為です。
以前、「感染が心配で、子どもが触れるものにはすべて殺菌するよう心がけている」と書いてある記事を読みました。子どもの頃に無菌で育ててしまうと、免疫力が弱くなってしまうということがわかっているので、今日はその話をしようと思います。
生後半年までは母親の免疫が働いている
生後すぐ、新生児の体をめぐっているのは、お母さんの血液です。生まれてから半年くらいかけて、お母さんの血液から、赤ちゃん自身がつくり出した血液へと変わっていきます。
生まれて半年くらいまでは、赤ちゃんは風邪を引かないことでも知られています。お母さんが持つ血液の中にある免疫機能が大きく働くので、この時期まではほとんど風邪を引いたり、病気になることはありません。
半年を過ぎると、お母さんの持っていた血液の免疫機能はほとんどなくなってしまいます。
一般的に、生後半年から1歳半の時期が、赤ちゃんの免疫が一番弱いと言われていて、だいたい6歳頃には免疫が安定してきます。
もうちょっと説明すると、生まれてすぐに与える母乳のことを初乳(しょにゅう)と言いますが、その乳白色のミルクに免疫が含まれていることもよく知られています。特にタンパク質量が多く、濃いクリーム色をしているということも特徴です。
では、この免疫がなくなったときにどうすべきなのでしょうか。
無菌状態では、免疫力の弱い子どもになってしまう?
さてこの免疫力ですが、どのようにつくられるのでしょうか。
実は、ウイルスや菌に触れて耐性をつけていく必要があります。
菌に対する耐性、つまり菌の種類をどうやって増やしていくかというのが難しいところで、菌が多すぎると、赤ちゃんに後遺症をもたらしてしまうこともあるし、一方で無菌の状態で育てた子どもは、大きくなればなるほど、幼児期に体の弱い子になってしまうことが知られています。
バランスがとても難しく、人によっては外に出ない方がいいという人もいるし、積極的に出るべきだという人もいます。
赤ちゃんの好きな「舐め遊び」は、生後半年後ぐらいによく見られますが、体の中に積極的に菌を取り入れようとする本能的なものであるのではないかという説もあります。
つまり、ほどほどに衛生に気を付ける必要がありますが、衛生ばかりを気にしてしまうと、風邪を引きやすく弱い子どもになってしまうわけです。
空気中に漂う菌をそこそこに浴びたほうがいいのです。ペットを飼っているおうちであれば、動物の菌が空気中に漂っています。動物園に行くことが効果的という声もあります。
一番やりやすいやり方でいいと思いますが、子どもの免疫のためにも、無菌で育てることは避けた方がいいのかもしれませんね。
今後も、理系の研究者が母親になって感じた日々の疑問について、私なりに調べ、考えた結果を共有していけたらと思っています。
PROFILE
【山口利恵】 5歳の子どもを持つ母親で、博士(情報理工学)。普段は、東京大学大学院情報理工学系研究科ソーシャルICT研究センターの特任准教授として、情報系の研究を推進。また、情報オリンピック日本委員会や国際大学対抗プログラミングコンテストのメンバーとして、中高・大学生の数理情報科学教育の振興にも邁進。趣味はクラシック音楽。
引用元:
子どもを無菌状態で育てる弊害。赤ちゃんの「舐め遊び」の驚くべき効果とは?(Yahoo!ニュース)