千葉大病院は「プレコンセプション(妊娠前)ケア」の専門外来を設置し、妊娠でのリスクが高い女性の課題改善に取り組んでいる。既往症がある人が安心して妊娠・出産できるように、周産期母性科の専門医を中心に各診療科がアドバイスや相談に応じている。(重政紀元)
「このまま妊娠したらリスクが高いです」。今春にケア外来を訪れた女性は、体重140キロ台。体格指数(BMI)は51で、35以上とされる高度肥満の基準を大きく超えていた。
面談した周産期母性科の医師や助産師は、胎児の先天奇形のリスク、超音波検査が難しく胎児の状態が分からなくなるといった問題を説明。女性は食生活を改善して2カ月で10キロ減量し、現在妊娠を目指している。
プレコンセプションケアは、妊娠前の女性が抱える課題改善の取り組みを指す。同病院では肥満症などの合併症に焦点をあて、現在治療中や既往症がある人が安心して妊娠・出産できるための準備に重点を置く。同様の取り組みは県内では初という。
受診は、対象疾患の主治医からの紹介を原則としている。主治医から提出された診療・検査記録や問診票を元に、周産期母性科の専門医が妊娠・出産に与える影響を検討。個々に応じた資料を作成した上で患者と面談し、アドバイスや相談に乗る。合併症の状況に応じて、同病院の各科の専門医に照会することもある。
ケア外来を設置した1月以降、受診をしたのは糖尿病、精神疾患、高血圧、遺伝性貧血などの合併症がある10人。事前の対応無しに妊娠した場合、いずれも高リスク出産につながる患者だったという。
担当する佐藤美香特任助教は「各診療科がそろう大学病院ならではの専門性の高いカウンセリングが可能。まだプレコンセプションケアの考え方自体が医療関係者の間でも周知されていないため、必要性についても知ってもらえるようにしたい」と話す。
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プレコンセプションケアの必要性が高まっている背景には、出産を取り巻く環境の変化がある。
35歳以上の出産は1970年では4・7%に過ぎなかったが、2022年には31・7%に上る。これに対し、既往症がある妊婦の割合は35歳未満36・1%、35〜39歳43・5%、40歳以上51・5%と高くなる。
糖尿病合併妊娠の場合、子どもの先天性心疾患の発生率は6倍になるとされ、妊娠前から医療によるコントロールが不可欠。精神疾患などでは、子どもに影響する恐れから勝手に服薬をやめてしまい、症状が悪化することもあるという。
かかりつけ医がいても適切なアドバイスが受けられるかはケース・バイ・ケースという。周産期母性科の尾本暁子助教は「以前では出産が難しいとされた既往症がある人でも適切な指導の元であれば問題ないケースも増えているのに、リスクばかりを強調されて出産を断念している人もいる」と話す。
課題は料金。健康保険の適用外のため、1時間で1万5800円(以降30分ごとに2800円)がかかる。今年4月に発足したこども家庭庁は「プレコンセプションケアの推進」を掲げたが、国は助成制度を設けていない。
独自支援する自治体もある。19年に市立病院がプレコンセプションケア外来を設けた茨城県笠間市は、市内在住者を対象に補助制度を策定。福岡市は特定のケア外来を対象にした制度ではないが、卵巣の状態把握を目的とした血液検査への助成制度を21年に設けている。
引用元:
妊娠前にリスク改善相談 千葉大病院が専門外来設置:朝日新聞デジタル(朝日新聞デジタル)